トルコ財務省、暗号資産のマネロン対策を強化。送金や出金の新規制導入へ

ステーブルコイン送金に上限や取引時間制限も

トルコ共和国財務・財政省(Hazine ve Maliye Bakanlığı)は、違法賭博や詐欺などによって得られた犯罪収益への対策として、暗号資産(仮想通貨)取引を通じた資金洗浄を防ぐ新たな施策をまもなく実施する。現地国営通信社のアナドル通信社(Anadolu Ajansı)が、6月24日に報じた。

報道によれば、財務省は「暗号資産サービスプロバイダー(Kripto Varlık Hizmet Sağlayıcısı:KVHS)」が取り扱う取引に対し、より厳格な監視と管理措置を求める新制度の導入を予定している。

具体的には、暗号資産プラットフォームが仲介するすべての取引において、「資金の出所」および「暗号資産送金の目的」に関する情報の取得が求められる。これにより、すべてのユーザーに対し、20文字以上の取引説明文の入力が義務付けられるという。

また、資金洗浄対策の一環として、「トラベルルール」に対応していない暗号資産の出金については、一定の時間制限が課されるとのこと。

出金は、暗号資産の購入・交換・入金から48時間が経過した後にのみ可能とされ、特定の口座から初めて出金を行う場合には、最低72時間の待機期間が義務付けられる。

さらに、ステーブルコインに関する新たな送金制限も導入された。

これは、犯罪収益が即時にシステム外へと流出し、痕跡が消されるのを防ぐ目的がある。具体的には、1日の送金上限を3,000ドル、1か月の上限を50,000ドルとする制限が設定された。

ただし、「トラベルルール」に完全に準拠している「KVHS」については、これらの上限を2倍に引き上げることが可能とされている。

メフメト・シムシェク(Mehmet Şimşek)財務大臣は、「流動性供給、マーケットメイキング、市場間アービトラージなど、正当な取引活動に従事し、資金の出所が証明されているユーザーについては、プラットフォームの責任と監督のもと、制限なく送金が許可される」と述べている。

またシムシェク大臣は、新制度に準拠しないプラットフォームに対しては、行政処分やライセンスの不交付・剥奪など、法的または行政的措置を講じる可能性があることも警告している。

参考:アナドル通信社
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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