XRPレジャー、「USDC」や「RLUSD」など米ドル・ユーロ等のステーブルコイン5銘柄が利用可能に

XRPLでステーブルコインによる通貨間の交換可能に

分散型レイヤー1ブロックチェーンのXRPレジャー(XRP Ledger:XRPL)上で、USDC、RLUSD、USDB、XSGD、EUROPのステーブルコイン5銘柄が利用可能になった。米リップル(Ripple)社が6月12日に発表した。

これにより、例えば米ドル建てステーブルコインUSDCを保有するユーザーが、中央集権的な仲介者なしで数秒以内にユーロ建てやシンガポールドル建てのステーブルコインと直接交換することが可能になったとのこと。これらの取引はXRPL上の分散型取引所(DEX)で行われ、今後はDEX上での直接支払い機能も導入される予定だという。

またこれら5銘柄のステーブルコインは、XRPL上の分散型金融(DeFi)における貸付市場、利回り付き貯蓄商品、外国為替取引(FX)、グローバルな給与支払い、企業の資金移動・管理などといった分野での活用が想定されているとのこと。

さらに開発者はこれらのステーブルコインを活用して、XRPL上でマルチ通貨対応の支払いレールやアプリケーションを構築可能になるという。また金融機関としては、コンプライアンス準拠の決済処理や担保管理、資産のトークン化戦略などが見込めるとのことだ。

なおXRPLでは、分散型識別子(Decentralized ID:DID)を補完するクレデンシャル(Credentials)や、新たなトークン規格マルチパーパストークン(Multi-Purpose Token:MPT)などの規制対応を重視した機能拡充が進められているという。

これら機能はトークン化されたRWA(現実資産)や、規制対象の金融取引における活用を視野に入れて設計され、企業がステーブルコインを活用する際に適した基盤とされている。

ちなみに今月11日には、機関投資家向けDeFiプロトコル「オンドファイナンス(Ondo Finance)」発行のRWAトークンOUSGが、XRPL上で利用可能になった。これにより機関投資家はRLUSDを使用して、XRPL上のOUSGをリアルタイムで購入・償還が可能になったとのこと。

今回利用可能になった各種ステーブルコインの特徴は次のとおりだ。

USDCは、米サークル(Circle Internet Financial)発行の米ドル建てステーブルコイン。今月11日にはUSDCのネイティブ型トークンが、ワールドチェーン(World Chain)上で発行開始されている。ネイティブ型USDCは、サークルが公式に発行するUSDCであり、常に米ドルと1対1で償還が可能だ。そのため価格がドルと乖離してしまうディペグが起こる可能性が低いという特徴がある。

RLUSDは、リップル社が2024年12月に発行した企業向けの米ドル建てステーブルコイン。リップル社によるとRLUSDは、個人ユーザー向けのステーブルコインとは異なり、グローバル企業の実用性、特にクロスボーダー決済のスピード、コスト、効率性の向上を目的として構築されているとのことだ。 

USDBは、ブラジルの大手金融機関ブラザグループ(Braza Group)が発行する米ドルに1:1で連動するステーブルコイン。現在USDBは、機関投資家向けに提供されており、今年5月からはブラザグループが展開する暗号資産対応のデジタル資産管理アプリ「ブラザオン(Braza On)」を通じて一般ユーザーも利用可能となっている。

XSGDは、東南アジア拠点のデジタル資産決済インフラ企業ストレイツX(StraitsX)発行のシンガポールドル建てステーブルコインだ。同ステーブルコインは、シンガポール金融管理局(MAS)により今後の同国のステーブルコイン規制枠組みに準拠していることが認められている。

EUROPは、ユーロに1:1で裏付けられた償還可能なステーブルコイン。準備資産は仏大手銀行ソシエテジェネラル(Societe Generale)を含む欧州有数の金融機関に保管され、大手監査法人KPMGによって定期的に監査されている。

以前、リップル社がサークル社の買収を検討しているとの報道があった。これに関連してリップル社CEOブラッド・ガーリングハウス(Brad Garlinghouse)氏は直接言及することは避けたものの、ステーブルコイン関連企業の買収を引き続き検討する意向を示した。これは今月11日にシンガポールで開催中のカンファレンス「APEX2025」の記者説明会にて述べられた内容となる。

またガーリングハウス氏は、ステーブルコイン市場の成長の可能性を確信しているとし、現在の市場規模約2,500億ドル(約36兆円)のこの領域が、数年間で兆ドル単位の規模に成長すると予想。そしてRLUSDが、ステーブルコイン市場で大きな成長機会を有していると信じていると述べた。

参考:リップル社
画像:iStocks/Who_I_am

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この記事の著者・インタビューイ

一本寿和

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
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