AvalancheとFilecoinが接続、クロスチェーンデータブリッジのプロトタイプ公開

AvalancheとFilecoinが接続

アバランチ(Avalanche)Cチェーン(Contract Chain)と分散型ストレージネットワークのファイルコイン(Filecoin)を接続する、ネイティブなクロスチェーンデータブリッジのプロトタイプがリリースされた。アバランチ開発元であるアバラボ(Ava Labs)とファイルコインエコシステムを支援するファイルコイン財団(Filecoin Foundation)が5月27日に発表した。

このクロスチェーンデータブリッジは、FEVM(ファイルコインバーチャルマシン)を基盤とし、アバランチの高速かつスケーラブルな処理能力と、ファイルコインの分散型ストレージを統合した企業向けモジュール型インフラとのこと。

発表によるとアバランチエコシステムでは、企業や金融機関による開発が進む中、透明性・コンプライアンス・長期的な可用性を備えた信頼性の高いストレージへの需要が高まっているという。こうしたニーズに対応するため、ファイルコインは分散型アーカイブ層としての機能を果たし、アバランチの処理能力を補完すると説明されている。

クロスチェーンデータブリッジでは、アバランチCチェーン(C-Chain)のようなEVM互換チェーンで生成されたデータを、オンチェーンの仕組みを通じてアクセス性と検証性を維持しながら、効率的にファイルコインに移動できるとのこと。

具体的には、アバランチCチェーン上のスマートコントラクトがファイルコインへのデータ転送を実行し、ファイルコイン上でログデータやKYC(本人確認)書類などのアクセス頻度が低いデータを安全かつ分散的に保存可能になるという。

保存されたデータの整合性は、ファイルコインのコンテンツ識別子(CID)コミットメントと、取得証明によって継続的に検証されるとのこと。これらの証明結果がアバランチに返却されることで、保存の成功が確認され、支払いがアバランチ上で実行・完了すると説明されている。

この仕組みは、データの改ざん耐性と検証可能性を担保しつつ、オンチェーンアプリケーションのパフォーマンス維持とコスト最適化の両立を可能にするとのこと。特に、監査ログや法規制対応が求められるKYCデータなどをアバランチからファイルコインへ移動することで、オンチェーンの負荷を軽減しながらデータの改ざんを防げるという。

さらに、この仕組みはモジュール型かつチェーン非依存に設計されており、アバランチのスピードを活かしたまま、ファイルコインの安全なデータストレージを柔軟に統合できる点が特徴とのこと。

開発者にとっては、マルチチェーンに対応したアプリケーションを構築するうえで、ユーザー体験やセキュリティを犠牲にせず、持続可能な仕組みを設計する手段となるとのことだ。

なおCチェーンは、スマートコントラクトの実行が可能なレイヤー1ブロックチェーンであるアバランチにおけるプライマリーネットワークの1つだ。Cチェーンは、dApps(分散型アプリケーション)の開発や運用に利用されている。アバランチのプライマリーネットワークには、Cチェーンのほかに、Pチェーン(Platform Chain)およびXチェーン(Exchange Chain)があり、それぞれ異なる役割を担っている。

参考:Ava LabsFilecoin Foundation
画像:iStock/iLexx

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この記事の著者・インタビューイ

一本寿和

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

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