アルゼンチン政府がミームコイン「LIBRA」調査タスクフォース解散、大統領関与の捜査は続行へ

調査自体は現在も継続中

アルゼンチン政府が、ハビエル・ミレイ(Javier Milei)大統領及びその妹が関与したとされるミームコイン「リブラ(LIBRA)」に関する調査タスクフォース(UTI)を閉鎖したようだ。同国法務省が5月19日発表している。

報道によれば、このタスクフォースの責任者は、「LIBRA」に関する情報および文書を、金融情報ユニット(UIF)をはじめとする関係機関に期限内に報告し、それらは検察庁に引き継がれたという。

これによりタスクフォースの任務は完了し、その解散が正式に宣言された形となった。

このタスクフォースは、ミレイ大統領の命により、国家大統領府の管轄下で設置されたものだ。

構成メンバーは、暗号資産(仮想通貨)、金融活動、マネーロンダリング、その他関連分野の権限を有する政府機関や団体の代表者であり、「LIBRA」の立ち上げおよび、大統領自身を含む政府関係者による不正の有無を緊急に調査していた。

ソラナ(Solana)ブロックチェーン上で発行されたミームコイン「LIBRA」は、今年2月にミレイ大統領がXでローンチを紹介した投稿を行ったことを受け、一時的に価格が急騰した。しかしその後、数時間以内に急落した。

アルゼンチンのフィンテック協会は、この件は暗号資産の開発者が合法的な投資を引き付け、価値を高めた後、後に持ち分を投げ売りする「ラグプル:だまし討ち(rug pull)」となる可能性があると指摘した。

ミレイ大統領は後日、「プロジェクトの詳細は知らなかったが、問題が発覚した後は投稿を削除し、今後は一切関与しないことを決めた」と説明し、自身と暗号資産との関係を否定した。該当のX投稿は数時間表示されたのち削除されている。

この「LIBRA」騒動を受け、アルゼンチンの連邦判事マリア・セルビニ(María Servini)氏は、中央銀行に対し、ミレイ大統領およびその妹カリナ・ミレイ(Karina Milei)氏の2023年以降の銀行取引記録の開示を命じた。

さらに、セルビニ判事は2025年5月、「LIBRA」の立ち上げ・宣伝に関与した複数の企業家・関係者の資産凍結も命じている。

なお、5月16日にアルゼンチンの全国紙「パギーナ・ドセ(Página/12)」が報じたところによれば、ミレイ大統領とカリナ氏は、国内外の約25名の被害者による民事訴訟前の調停に出席しなかったという。このグループによる被害総額は約450万米ドルにのぼると見られている。

参考:発表Página/12
画像:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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