アルゼンチン新大統領、暗号資産保有申告の優遇措置を法案から取り下げ

法の早期施行のため

南米アルゼンチンの新大統領ハビエル・ミレイ(Javier Milei)氏は、同国の改革法案を見直し、暗号資産(仮想通貨)税制案を取り下げたようだ。アルゼンチンのテックメディア「iProUP」が1月27日報じている。

この動きは、同国で議論を呼んでいる改革法案「アルゼンチン人の自由のための基礎と出発点の法律(Ley Ómnibus)」の承認を迅速化するための動きと見られている。比較的重要ではないとミレイ氏が考える事項で議論を長引かせない狙いのようだ。

同国ギジェルモ・フランコス(Guillermo Francos)内務大臣は、同法の目的は経済発展のための自由を生み出すことだとし、早く施行することが不可欠と述べた。

また同氏によれば、政府は当該の部分を撤回することで、法案のより合意しやすい部分についてのコンセンサスを得たいと考えているという。

なお今回見直されたのは同法の税制調整の章で、保有金、ロンダリング、所得資産税、輸入関税、年金方式等複数の項目が対象となった。その項目に暗号資産に係る税制案が含まれる格好だ。

この度削除となったのは、自己保有している分の暗号資産に限って、「資産正規化制度」の対象となる項目だ。12月27日に議会へ送られた法案に盛り込まれていた。

「資産正規化制度」は居住者と非居住者の両方が対象となり、暗号資産の保有を早期申告することで税率が軽減されるというものであった。このプロセスへの参加期間は2024年11月30日までで、3段階に分かれている。

2024年3月末までに申告されたすべての資産に対して5%、4月から6月末までは10%、7月から9月末までは15%の単純課税が提案されていた。

なお申告により保有額が10万ドル未満であることが判明した場合は、特別税の適用外となるとのことだった。

今回の法制化によって、同国の暗号資産保有者への影響が懸念されている。暗号資産の保有や支払いには課税されないが、多額の売却益には課税されるようだ。

会計士のマルコス・ゾカロ(Marcos Zocaro)氏によれば、個人の場合、「デジタル資産」を購入するだけでは課税対象にならないという。「所得税が適用されるのは売却で得た利益であり、それ以下であれば税金はかからないという基準値もある」と指摘している。

また同氏によれば、個人資産法では暗号資産について特に言及していないため、暗号資産が課税対象か非課税かについては議論が続いているという。それにもかかわらず税務当局は2022年以降、暗号資産が課税対象であると考えているようだと同氏は指摘している。

関連ニュース

参考:iProUPiProUP
images:Reuters

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

【10/11話題】メタプラネットが今月3度目のビットコイン購入、ユニスワップがイーサL2「Unichain」ローンチへなど(音声ニュース)

メタプラネットが今月3度目のビットコイン購入、10億円相当追加で合計保有数748.502BTCに、ユニスワップがイーサL2「Unichain」ローンチへ、OPスタック採用、米SEC、カンバーランドDRWを無登録で暗号資産取引を行ったとして提訴、ユービーアイソフト、初のweb3ゲーム今月リリースへ。オアシス(OAS)のL2採用で、タイ、投資信託やプライベートファンドによる暗号資産関連商品への投資規制緩和へ、米決済ストライプが「Pay with Crypto」提供開始、、USDCとUSDPで支払い可能に、バビロン、ステーキング上限撤廃で約14億ドル相当のビットコイン集める

米決済ストライプが「Pay with Crypto」提供開始、USDCとUSDPで支払い可能に

決済インフラ提供の米ストライプ(Stripe)が、米ドルステーブルコイン「USDC」を決済通貨として利用できる暗号資産(仮想通貨)決済機能「ペイウィズクリプト(Pay with Crypto)」を提供開始した。「USDC」を発行する米サークル(Circle Internet Financial)の共同創業者兼CEOジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)氏が公式Xにて10月10日発表した