FTX、暗号資産取引所の再開を断念。顧客に全額返済へ

FTXが暗号資産取引所の再開を断念

FTXが暗号資産(仮想通貨)取引所の再開を断念し、代わりに顧客へ全額返済する清算を選択したと、同社の弁護士が1月31日発表した。

「FTXは何カ月も入札業者や投資家候補と交渉してきたが、FTX取引所を再建するのに十分な資金を投入してくれるところはなかった」とFTXの弁護士アンディ・ディードリッヒ(Andy Dietderich)氏はデラウェア州の破産裁判所の公聴会で述べた。

また同氏は、「この交渉の失敗は、FTXが見かけによらず、創業者であるサム・バンクマン=フリード(Samuel Bankman-Fried:SBF)氏が会社を存続可能なビジネスとして運営するために必要な基礎技術や管理体制を構築していなかったという事実を浮き彫りにした」と語った。SBFはFTXの運営に関連した詐欺罪で有罪判決を受けている。

「FTXは、有罪判決を受けた重罪犯によって作られた無責任な見せかけのものだった」とし、「SBFがゴミ箱に残していったものから、実行可能な取引所を作るには、コストとリスクが高すぎた」とディートデリッヒ氏は述べた。

再開断念の代わりにFTXは、2022年11月に破産申請した際に暗号資産預金をロックされた顧客への返済のため、資産の整理に注力する。

ディートデリッヒ氏によると、FTXは顧客に返済するために70億ドル以上の資産を回収しており、さまざまな政府規制当局と合意に達し、顧客が全額返済されるまで待ってから約90億ドルの請求を回収することに同意したという。

FTXは現在、すべての顧客に全額を支払う予定だが、暗号資産市場が長期にわたる低迷に見舞われていた2022年11月以降の暗号資産価格に基づいて返済額を計算することになる。

数十人ものFTXの顧客が、2022年11月の価格を計算に使用することで、返済額が割安にされていると訴えている。例えば、ビットコインの現在の価格は、2022年11月の価格16,872ドルから約43,300ドルに上昇している。

米国破産裁判所のジョン・ドーシー(John Dorsey)判事は、水曜日の公聴会でこうした顧客の訴えを却下し、FTXによる2022年価格の使用を承認した。米国の破産法は「非常に明確」であり、負債は企業が破産を申請した日の価値に基づいて返済しなければならないと同判事は述べた。

「その点に関して、私には何の変更余地もない」とドーシー氏は言った。「破産法に定められていることであり、私はそれに従う義務がある」とした。

またFTXは、「どの顧客の請求が正当であるかを調査する必要があるため、顧客は迅速な返済を期待すべきではない」と述べている。

バランスシートに穴が開き、900万人の顧客が数十億ドルの潜在的損失に直面することになったFTXは、2022年11月に破産保護を申請した。

マンハッタンの陪審員は昨年11月2日、SBFが直面した7件の詐欺および共謀の罪すべてについて有罪判決を下した。 SBFに対する判決は3月28日に言い渡される。ただしSBFは、有罪判決を不服として控訴する見込みである。

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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
FTX abandons efforts to restart its crypto exchange
Reporting by Dietrich Knauth; Editing by Bill Berkrot and Jonathan Oatis, Kirsten Donovan
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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