サザビーズでビットコインに刻まれた詩が落札、詩単体の出品は初

個人の詩が販売されるのは初

米オークションハウス大手のサザビーズ(Sotheby’s)開催のオークションにて、ビットコイン「オーディナルズ(Ordinals)」によるインスクリプション(NFT)として販売されたアナ・マリア・カバジェロ(Ana Maria Caballero)氏の詩「コード(Cord)」が落札された。サザビーズがXにて1月23日伝えている。

サザビーズの副社長兼デジタルアート部門責任者マイケル・ブハンナ(Michael Bouhanna)氏によれば、「コード」はサザビーズにおいて、手稿本や書籍を除き、初めて詩単体を販売した作品だという。

また海外メディアディクリプト(Decrypt)によれば、詩のテキストだけが売られた今回のオークションを、言葉や言語、詩をそれ自体で価値があることを証明する機会だったとカバジェロ氏は評している。

ちなみに「コード」の落札価格は、0.28BTC(当時の価格で11,430ドル:約169万円)だ。

カバジェロ氏は、コロンビア系アメリカ人の詩人・アーティスト。同氏の作品はビバリー国際賞、コロンビアのホセ・マヌエル・アランゴ国家詩賞など複数の賞を受賞。MAXXI BVLGARI賞のデジタル部門にノミネートされた作品もある。

また同氏は、現代デジタル詩(デジタルポエトリー)の第一人者として認められており、マドリードの伝統的なオークションハウス「デュラン(Durán)」で初めてNFTの詩を販売した人物でもある。

同氏は2021年、デジタルの詩及びNFTギャラリー「バースバース(theVERSEverse)」をカレン・イワモト(Kalen Iwamoto)とサーシャ・スタイルズ(Sasha Stiles)らと立ち上げている。デジタル詩以外にも生成AIプロジェクトによるアート作品の制作を行っている。

なお「コード」は、カバジェロ氏の近刊「哺乳類:マーマル(Mammal)」に収録される予定。また「コード」のNFT購入者には、この詩のサイン入り版画が贈られるとのことだ。

ササビーズは昨年12月、「オーディナルズ」プロジェクトの作品に関する初のオークションを開催。

「Natively Digital」では、「オーディナルズ」のアーティストであるシュルーム・トシ(Shroom toshi)氏の作品、ジェネレイティブNFT、「オーディナルズ」ブランドの「タップルートウィザーズ(Taproot Wizards)」に関連するアイテムなどが扱われ、「タップルートウィザーズ」のクアンタムキャッツ(Quantum Cats)コレクションの1つは254,000ドル(約3760万円)で落札されている。

なおカバジェロ氏の詩「コード」は、「Natively Digital」と呼ばれるビットコイン「オーディナルズ(Ordinals)」のキュレーション・コレクションで取り扱われた。

「オーディナルズ」は、ビットコインの最小単位である1satoshi(0.00000001BTC)に通し番号をつけ、ひとつのsatoshiに任意のデータを紐づけるプロトコルだ。2021年11月に実施されたアップグレードである「タップルート(Taproot)」を経て「オーディナルズ」は実現した。

「オーディナルズ」を利用したトークン規格はNFT(非代替性トークン)のみならず、代替可能トークンのための規格も存在している。

関連ニュース

参考:サザビーズディクリプトアナ・マリア・カバジェロ
images:iStock/AdrianHillman・LongQuattro

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

合わせて読みたい記事

【4/26話題】コンセンシスがETH規制でSECを提訴、米国政府マネーファンドがP2Pで転送可能になど

米コンセンシス、イーサリアム(ETH)規制めぐり米SECを提訴、フランクリン・テンプルトン、「米国政府マネーファンド」をP2Pで転送可能に、オーケーコインジャパンにオプティミズム(OP)上場へ、国内3例目、米決済ストライプ、「USDC支払い」今夏から導入へ、Fireblocks、機関向けのDeFiセキュリティ機能を拡張、アーサーヘイズ、ビットコインの強気相場続くと予想、コスモス「IBC」でトークン無限発行のバグ修正、アシメトリックリサーチ報告、ビットコインの改善提案「BIP420」公開、スマコン追加やゼロ知識証明など実装に向け、エルサルバドル、公式デジタルウォレット「Chivo」のソースコード流出、米SEC、テラフォームラボと創業者に約53億ドルの支払い命じる