米ビットコインETF発行体ら、SECとの協議が大詰めを迎える=ロイター

情報筋が語る

米証券取引委員会(SEC)と現物ビットコイン上場投資信託(ETF)の上場を希望する資産運用会社との間で、カギとなる技術的な詳細についての協議が進んでいる。

暗号資産(仮想通貨)運用会社グレイスケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)、ブラックロック(BlackRock)、インベスコ(Invesco)、アーク・インベストメンツ(ARK Invest)など13社が、ビットコイン価格に連動するETFをSECに申請中だ。

ETFのような、暗号資産の現物価格に連動する規制商品は、投資家にビットコインへの最良の投資方法を提供すると、推進派は主張している。しかし、米金融庁は長きにわたって、そのような商品は投資家保護の基準を満たさないとして却下してきた。

しかし、8月に裁判所がグレイスケールのビットコイン信託をETFに転換する申請をSECが却下したのは誤りであったとの判決を下した後、SECは本質的な詳細について発行体と協議している。6人の業界幹部とSECの公開資料によると、これらのいくつかは通常ETF申請プロセスの終了間際に話し合われるものであるという。

これらの詳細には、カストディ(保管)の取り決め、設定と償還の仕組み、投資家のリスク開示などが含まれると、この関係者は述べている。

ビットコインETFが現物上場されれば、これまで警戒していた投資家が、規制の厳しい株式市場を通じて世界最大の暗号資産であるビットコインにアクセスできるようになり、業界にとって画期的な出来事となる。需要は最初の数日間で30億ドルに上ると予想されている。

しかし、SECは以前からビットコインが不正操作されやすいことを懸念していた。これまでは、その懸念に焦点を当てた議論が行われ、ほとんどが教育に関するものであった、と関係者は述べている。

SECは1月10日までにアークの申請に対する最終決定を下す。今回の協議の進展は、SECが新年中にアークの申請を承認する可能性があること、そしておそらく他の12の申請も承認する可能性があることを示唆している、と関係者は述べた。この活発な協議は、今月20ヶ月ぶりの高値をつけたビットコインの最近の上昇を裏付けるものである。

アークのCEOであるキャシー・ウッド(Cathie Wood)氏は先月、ヤフー・ファイナンスの取材に対し、SECの協議内容が変化し、いくつかの申請が承認される確率が高まったと語った。

米金融サービス企業モーニングスター(Morningstar)のETFアナリスト、ブライアン・アーマー(Bryan Armour)氏は、「私の予想では、一度に複数のETFが承認され、投資家がそれらを比較する絶好の機会になるだろう」と語った。

SECが公開したメモによると、ブラックロック、グレイスケール、インベスコ、そしてアークと提携している21シェアーズの幹部は、弁護士やETFの上場を希望する取引所の幹部とともに、9月以降SECスタッフと面談している。ロイターによれば、他の運用会社もその間、SECスタッフと面会したという。ブラックロックの会議メモには、資産運用会社の修正償還メカニズムに関する詳細な説明が含まれていたという。

ブラックロックはコメントの要請に応じなかった。インベスコはコメントを控えた。「グレイスケールはSECと建設的な関与を続けている」と同社広報担当者は述べている。

メモや情報源によると、過去の会合は主にSECのトレーディング・マーケット部門とコーポレート・ファイナンス部門のスタッフとのものだったが、最近ではゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長のオフィスのスタッフとの会合もあった。また、SECからの情報提供要請のペースも、数ヶ月ごとから1週間ごとくらいにペースアップしているという。

議論が進むにつれて、発行者は新しい詳細を反映させるために提出書類を更新しなければならなくなった、とある関係者は語っている。例として、ブラックロックは今週、投資家を保護するために講じる計画についてより詳しく説明するため、提出書類を修正した。

確かに、SECは公に、あるいはロイターのインタビューに答えた人々に、この商品を承認するかどうかを明言していない。また、発行者が現金決済と現物決済のどちらを採用するかといった問題も残っている。

SECの広報担当者は、SECは個別の提出書類についてはコメントしないと述べた。暗号資産に懐疑的で、業界がSECの規則に違反していると非難しているゲンスラー委員長は10月、SECのスタッフがETFの提出書類を検討する可能性があると述べたものの、その時期については明言しなかった。

SECは、連邦控訴裁判所がグレイスケールのETF申請を却下した理由をSECが正当化できなかったとする判決を下した直後から、発行者と有意義な関わりを持ち始めた。SECは控訴しなかったため、グレイスケールの申請を見直さなければならない。

グレイスケールの判決文は、SECが再び申請を却下する理由を制限したと考える関係者もいる。また、多くの発行体は、上場取引所と米大手暗号資産取引所であるコインベース(Coinbase)との間の監視協定によって、SECの市場操作の懸念に対処したと考えている。

SECがさらに時間を稼ぎたいのであれば、アークに申請を取り下げて再申請するよう求めることもできるが、グレイスケールの判決を踏まえれば、法的にはリスクが高いと市場関係者は指摘する。

データ会社ベタファイ(VettaFi)のセクター・業界調査責任者であるロクサーナ・イスラム(Roxanna Islam)氏は、「前進を止めることはできないと思います」と語っている。

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 ※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
US bitcoin ETF issuer talks with SEC have advanced to key details -sources
Reporting by Suzanne McGee in Providence, Rhode Island, and Hannah Lang in Washington; Editing by Michelle Price and Matthew Lewis
翻訳:髙橋知里(あたらしい経済)
images:Reuters

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髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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