テザー社、人身売買シンジケート関連ウォレットの約332億円を自主凍結

米司法省、チェイナリシス、OKXと協力

USDT等のステーブルコイン発行元であるテザー(Tether)社が、東南アジアの人身売買シンジケートに関連するセルフカストディアルウォレットに保管されていた約2億2500万ドル(約332.3億円)相当のUSDTを自主的に凍結したことを11月20日発表した。なおこの人身売買シンジゲートは、いわゆる「豚の食肉解体(pig butchering)」と呼ばれるロマンス詐欺に関与したとされている。

ちなみにこのロマンス詐欺は、デーティングアプリやSNSを通じて標的を定め、長い期間をかけて信頼関係を構築し、暗号資産投資や取引を促すものだ。詐欺により大金を詐取するために長期間接触を行うプロセスが、豚を太らせて最終的に解体処理・出荷する食肉解体業に類似していることに由来して「豚の食肉解体(pig butchering)」と呼ばれている。

発表によればテザー社は、この件について暗号資産(仮想通貨)取引所OKXと協力し、数カ月にわたる調査を行ったという。

この調査にはブロックチェーン分析会社チェイナリシス(Chainalysis)のツールが使用されたとのこと。司法省を含む米国の法執行機関による、これら資金の流れの分析により、テザー社は事前に警告を受けていたという。これにより米国シークレットサービスによる凍結要請が開始され、テザー社は自主的に凍結を行ったということだ。

なお発表では、凍結されたウォレットはセカンダリーマーケットにあり、テザー社の顧客とは関係ないと報告されている。

テザー社のCEOであるパオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)氏は「司法省への支援は、安全な環境を育成することへの当社の献身を強調するものだ。私たちは、違法行為に積極的に対処し、業界の最高水準の誠実さを維持するために、OKX社との協力関係のようなテクノロジーと関係を活用する」と述べている。

テザー社は10月16日にも、イスラエルとウクライナでの「テロと戦争」に関連しているとして、32の暗号資産ウォレットのアドレスを凍結したことを発表。対象ウォレットの資産は合計で87万3,118ドル相当だという。

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参考:テザー社
images:iStock/yevtony

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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