テザー社、現金および現金同等物での準備金が総純利益で過去最高の割合に

約32億ドルの超過準備金も

USDT等のステーブルコイン発行元であるテザー(Tether)社が、2023年第3四半期の監査報告書を10月31日公表。テザーグループが保有する資産の内訳を開示した。

報告書によれば、現金および現金同等物で保有される準備金が、ビットコインや金(ゴールド)等を含む総準備金のうち85.7%を占め、過去最高の割合となった。またテザー社によれば、準備金の大半が米国国庫短期証券であり、直接的および間接的なエクスポージャーで726億ドル(約10.9兆円)を占めているとのことだ。

テザー社の最高経営責任者(CEO)であるパオロ・アルドイーノ(Paolo Ardoino)氏は「当社は、現金および現金同等物で保有する準備金の割合で過去最高を達成し、ステーブルコイン・エコシステム内で流動性と安定性を維持することに専念していることを証明した」と述べている。

報告書を見ると、テザー社は16.6億ドル(約2,511.7億円)相当のビットコイン(BTC)と31.4億ドル(約4,752億円)相当の金も保有している。またテザー社は約32億ドル(約4,841.8億円)の超過準備金があることも報告。発行済みのテザートークンの総額は831.5億ドル(約12.5兆円)相当であるとしている。

準備金報告は裁判和解の一環で

テザー社は2021年2月、準備金不正利用をめぐるニューヨーク州司法当局(NYAG)との裁判に和解している。

この裁判は2019年4月にニューヨーク州司法当局がビットフィネックスとテザー社を、ビットフィネックスがテザー社の裏付け資産から約900億円(8億5,000万ドル)を不正に利用したとして告訴したことに端を発し始まった裁判で、その後の調査によって2017年以降の一部期間においてテザー社の発行するUSDTが米ドルと1対1で担保されていなかったことが判明していた。

和解の条件として暗号資産(仮想通貨)取引所のビットフィネックスとテザーは和解金1,850万ドル(当時の価格で約19億5,000万円)の支払いとニューヨーク州での顧客へのサービス停止に合意。

この和解の一環として、テザー社は2年間、四半期ごとに準備金の報告書を提出することに同意した。テザー社はウェブサイトで、今年初めにこの義務を完了したことを発表していた。

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参考:テザー社報告書
images:iStocks/artsstock

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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