英国、暗号資産規制の最終案とステーブルコイン規制計画を発表

暗号資産技術の世界的なハブ目指す

英国政府が、暗号資産(仮想通貨)及びステーブルコイン規制に関する最終提案を10月30日発表した。

同提案では、暗号資産活動を行う企業は今後、英国の金融行為監督機構(FCA)の認可を受ける必要があるとしている。この認可には、暗号資産取引所が新規の暗号資産を上場する際に、上場基準の詳細な要件を作成し、開示を義務づけるという規定が含まれている。

また、同提案では分散型金融(DeFi)の規制は行わないとしている。政府は、英国において現在DeFi活動を規制するのは時期尚早だと判断したのだという。

また同提案では、政府の見解としてNFT自体は「金融サービス商品というより、デジタルコレクタブルやアートワークに近い」とされるため、金融サービスとして規制するのは適切ではないとの考えが示された。ただし、取引所トークンとして使用されるNFTは、ゆくゆくは金融サービス規制の対象となる可能性があるとのことだ。

英国財務省の経済長官であるアンドリュー・グリフィス(Andrew Griffith)氏は同提案の冒頭にて、「英国が暗号資産テクノロジーの世界的なハブであるというビジョンを実現するために、この業界と引き続き協力していく」と述べている。

ステーブルコインもFCAが規制へ

財務省が別途提出した「ステーブルコイン規制の計画に関する最新情報報告書」によると、同省は2024年に具体的な法案を議会に提出し、法定通貨を裏付けとするステーブルコインの規制をFCAの権限下に置く意向だという。

ステーブルコインの発行・保管は、金融サービス向けに設計された既存ルールの下で規制されることになるとのことだ。

暗号資産を推進する英国

英国財務省は昨年4月初旬に、英国を世界的な暗号資産業界のハブにするための計画を発表。同国においてステーブルコインを決済手段として利用できるよう整備及び立法化していく方針が示された。

一時、暗号資産市場の市況悪化などにより、英国においてのステーブルコイン規制の先行きが不透明な時期もあったが、2022年7月に、ナジム・ザハウィ(Nadhim Zahawi)財務大臣による「テクノロジーの中心地としての英国の立場を推進する」という意志表明により、英国におけるステーブルコイン規制推進の動きが明らかとなった。

6月には、英国財務省が提出していた「金融サービス・市場法案(Financial Services and Markets Bill:FSMB)」が王室の承認を受け法制化。

7月には、暗号資産取引と投資をギャンブルの一種として規制する提案が英財務省経済長官であるアンドリュー・グリフィス氏によって却下されている。これは暗号資産をギャンブルの一種として取り扱うことは、英国を世界や欧州連合の規制当局と対立させ、同分野のリスクを緩和することにつながらないとの考えからであった。

10月からは、英国金融行動監視機構(FCA)による新しい暗号資産マーケティング規則が導入された。

同月26日には「経済犯罪および企業の透明性に関する法案」が、王室の承認を得て正式に成立。

同法案は昨年9月に提出されたもので、当局による「マネーロンダリングや麻薬取引などの犯罪に使われた暗号資産」を押収・凍結する権限を、地方裁判所及び法執行機関に拡大するものである。

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参考:暗号資産に対する将来の金融サービス規制体制についての最終報告書ステーブルコイン規制の計画に関する最新情報報告書
デザイン:一本寿和

images:iStocks/8213erika

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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