ブラジル政府、ブロックチェーンベースのデジタルIDを全ての州に拡大目指す

デジタルID拡大を推進

ブラジル政府が11月6日までに、ブラジルのすべての州でブロックチェーン技術活用のデジタルIDを導入する。同ソリューションを開発するブラジルの国家データ処理公社のセプロ(Serpro)社が9月25日発表した。

発表によればこのデジタルIDには、セプロ社が開発したプライベートブロックチェーン基盤のブロックチェーンプラットフォームである「ビー・カダストロ(b-Cadastros)」が活用されているとのこと。これにより個人データ保護と不正行為防止が可能になり、セキュリティ向上と高い信頼性が期待できるという。

またブロックチェーン技術の性質上、複数のマシンやネットワーク・ノードに分散されているため、サイバー攻撃に対する脆弱性の軽減や、ハッカーによるシステムのセキュリティ侵害が困難な点、ネットワーク上で行われるすべての取引・活動を追跡可能な点も利点として挙げられている。

公共サービス管理・革新省(MGI)のデジタル政府長官であるロジェリオ・マスカレンハス(Rogério Mascarenhas)氏はブロックチェーン技術を採用することについて、「提供されるサービスの一貫性、追跡可能性、安全性、そしてこのプロセスにおける州の独立性を高めるだけでなく、本人確認機関の窓口での納税者番号(CPF)の直接登録など、市民に利益をもたらす新たな機能がもたらされる」とコメントしている。

またマスカレンハス氏は、連邦政府が11月までにブラジルのすべての身分証明機関がデジタルIDカード(CIN)を発行することを望んでいるとも述べており、11月6日以降はすべての発行機関がデジタルIDの標準を採用する義務があるとのことだ。

このデジタルIDカードは昨年7月より発行開始されており、紙やプラスチック製のカードといった物理的な形態に加え、アプリで利用できるデジタル版も用意されている。

デジタルIDは9月25日からゴイアス州・パラナ州・リオデジャネイロ州で導入されているとのことで、今後6週間の間に他の州でも同プラットフォームの利用が開始される予定だ。

各地でデジタルID導入の気運高まる

デジタルID導入の流れは広がっている。

9月28日には「zkSync(ジーケーシンク)」を開発する「マター・ラボ(Matter Labs)」の「zkシンクエラ」が、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスは、市民にデジタルIDサービスを提供する計画があることを発表している。

ブエノスアイレスはブロックチェーンベースのIDを活用し、市民が自身の身分を証明したり、決済処理等ができるインフラの構築を目指すとしている。

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参考:Serprob-Cadastros
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Natali_Mis

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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