丸紅と常陽銀行出資のデジタル証券準備会社、「匿名組合出資持分」をセキュリティトークンに

デジタル証券準備会社がプロ向け不動産STOファンド組成

デジタル証券準備株式会社(DS社)および同社システム子会社のオーナーシップ(OS社)が、「匿名組合出資持分」をブロックチェーン技術によりセキュリティトークン(ST/証券トークン)化した「プロ向け不動産STOファンド」の組成完了を12月19日発表した。

なお「匿名組合出資持分」は、匿名組合契約に基づいて行う投資及びその金額のこと。今回のファンドのような「匿名組合出資持分」をST化した「プロ向け不動産STOファンド」の組成は、日本初の取組みになるとのことだ。

発表によるとこのファンドは、DS社が設立したrenga第0号合同会社が適格機関投資家等特例業務に係る届出を行ったうえで、2022年12月16日付に組成完了したという。またST化にはOS社が開発した不動産STOシステム「OwnerShip」が用いられたとのこと。

またファンド組成にあたっては、DS社の株主であるアセットリードが対象不動産の売り手となったという。そして常陽銀行が、「借入人である合同会社が保有する資産のみを担保にローンを提供する手法」の「ノンリコースローン」に取り組み、丸紅が50%出資するみずほ丸紅リースが適格機関投資家として参加したとのこと。

なおデジタル証券準備株式会社(DS社)は、丸紅・オリックス銀行・常陽銀行が今年10月に出資した企業(常陽銀行は同行のCVCファンド「Jレイズ投資事業有限責任組合」を通じて出資)。

またオーナーシップ(OS社)は、投資型クラウドファンディングシステムなどを提供するグローシップ・パートナーズの親会社であるグローシップとデジタル証券準備会社が共同で昨年10月に設立した企業だ。

なお「あたらしい経済」編集部はオーナーシップへSTOプラットフォームに採用したブロックチェーン基盤について問い合わせを行っている。確認が取れ次第、こちらの記事に追記させていただく予定だ。

以下2022.12.21 13:20追記

「あたらしい経済」編集部がSTOプラットフォームに採用したブロックチェーン基盤について、オーナーシップへ確認を取ったところ「現在金融庁からの審査が進行中のため、回答は差し控えさせていだだきます」とのことだった。

STOとは

STO(セキュリティトークンオファリング)とは、発行会社が従来の株式や社債等に代わり、ブロックチェーン等の電子的手段を用いて発行するトークンに株式や社債等を表示する「セキュリティトークン」により資金を調達するスキームだ。2020年5月1日の金融商品取引法改正及び関連する政省令の改正施行により「電子記録移転有価証券表示権利等」として規定され、法令に準拠した取扱いが可能となっている。

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参考:丸紅
images:iStocks/metamorworks

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
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