イーサリアム・インスティテューショナル、初回資金調達完了。100超の支援者が参画

EFから引き継いだ機関向け活動が本格始動

金融機関などによるイーサリアム(Ethereum)およびそのエコシステムの導入を支援する非営利団体「イーサリアム・インスティテューショナル(Ethereum Institutional)」が、初回のエコシステム資金調達ラウンドを完了したと7月29日に発表した。あわせて、100を超える企業・団体・個人による支援者ネットワークを立ち上げ、今後の活動基盤を整えた。

イーサリアムではこれまで、イーサリアム財団(Ethereum Foundation:EF)のエンタープライズ(Enterprise)チームが、銀行や資産運用会社などの金融機関に対する関係構築や導入に向けた支援を進めてきた。

EF内で育成されたこうした活動を独立組織へ移し、拡大する形で、7月1日にイーサリアム・インスティテューショナルが独立した非営利団体として正式始動した。今回の資金調達完了により、発足段階から継続的な活動を展開する体制が整った格好だ。

同団体によると、こうした独立組織が設立された背景には、イーサリアムには単一の中央管理主体が存在しないという特徴がある。金融機関がイーサリアムを活用した金融サービスや市場インフラの導入を検討する際、エコシステムを偏りなく案内する中立的な窓口や、開発企業・インフラ事業者との調整役が求められていたという。

イーサリアム・インスティテューショナルは、その役割を担うことを目的として設立された。銀行、資産運用会社、カストディアン(顧客資産の保管・管理を担う事業者)、市場インフラ事業者、フィンテック企業、政府系機関などによるイーサリアムの導入を支援する。

今回の資金調達ラウンドでは、イーサリアムのネイティブトークン「ETH」を主要な財務資産とするトレジャリー企業ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ(BitMine Immersion Technologies)とシャープリンク(SharpLink)が中核支援者となった。

また、イーサリアム共同創設者でコンセンシス(Consensys)CEOのジョセフ・ルービン(Joseph Lubin)氏と、イーサリアム共同創設者のミハイ・アリシー(Mihai Alisie)氏も中核支援者に名を連ねた。資金調達額や各支援者の拠出額は公表されていない。

なお、ビットマイン、シャープリンク、ルービン氏による支援は7月1日の設立発表時点でも公表されており、今回の発表ではアリシー氏を含む4者が中核資金提供者として示された。同発表では、資金調達額や個別の資金提供額は明らかにされていない。

同団体によると、このネットワークは資金提供者だけでなく、時間や専門知識、情報発信などを通じて活動を支援する参加者も含むとのこと。今回の支援体制の構築により、これまで築いてきた金融機関との関係を継続的かつ世界規模の取り組みへ発展させるための活動基盤を確保したとのことだ。

今後同団体は、銀行、資産運用会社、カストディアン、市場インフラ事業者、フィンテック企業、政府系機関などとの直接的な連携を加速する。

また、イーサリアムとそのレイヤー2(L2)を対象に、トークン化、ステーブルコイン、担保、市場インフラ、オンチェーン清算を巡る具体的な取り組みを進める。L2は、イーサリアムの処理能力向上や手数料低減を目的とした拡張ネットワークだ。

さらに、機関向け教育、市場インテリジェンスの提供、ETHおよびイーサリアムエコシステムのマーケティング、業界ニーズの把握、機関関係者向け会合なども実施する予定だ。

なお今回の発表は、イーサリアム財団が今年6月に組織再編を実施し、54人(全体の約20%)が離れる人員削減を行った前後に、元メンバーらによる独立組織の設立が相次ぐ中で行われた。

イーサリアム・インスティテューショナルは金融機関などとの関係構築や導入支援を担う。一方、独立した非営利研究開発組織「イーサラボ(Ethlabs)」は、イーサリアムのコアプロトコルや基盤技術の研究開発を進める。営利企業「イーサシステムズ(EthSystems)」は、金融機関向けのプライバシー・コンプライアンス技術やシステム開発を手掛ける。それぞれ異なる領域に重点を置く独立組織が相次いで始動している。

支援者ネットワークには主要ブロックチェーン企業・団体が参加

同団体によると、支援者ネットワークには資金提供者だけでなく、時間や専門知識、情報発信などを通じて活動を支援する参加者も含まれるとのこと。

主な参加企業・団体・プロジェクトには、以下が名を連ねている。

・アーベ(Aave)
・アンカレッジ・デジタル(Anchorage Digital)
・アービトラム(Arbitrum)
・ビットワイズ(Bitwise)
・チェーンリンク(Chainlink)
・サークル(Circle)
・コンセンシス(Consensys)
・デューン(Dune)
・ファイアブロックス(Fireblocks)
・ギャラクシー(Galaxy)
・メタマスク(MetaMask)
・モルフォ(Morpho)
・オンド(Ondo)
・オプティミズム(Optimism)
・ロビンフッド(Robinhood)
・セキュリタイズ(Securitize)
・ソニューム(Soneium)
・スターテイル・グループ(Startale Group)
・ユニスワップ・ラボ(Uniswap Labs)
・ウォレットコネクト(WalletConnect)
・ジーケーシンク(zkSync)

日本関連では、ソニーグループ傘下でスターテイル・グループとの合弁会社であるソニーブロックソリューションラボ(Sony Block Solutions Labs)が開発するイーサリアムL2「ソニューム」と、日本発のWeb3企業スターテイル・グループが名を連ねている。

参考:プレスリリース
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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