Tempo、企業向けプライベート取引機能「Zones」発表。決済の非公開化と相互運用性を両立へ

Tempoが企業向けに非公開取引環境を提供

米決済大手ストライプ(Stripe)および暗号資産VCパラダイム(Paradigm)がインキュベートしたレイヤー1ブロックチェーン「テンポ(Tempo)」による企業向けのプライベート取引機能「ゾーンズ(Zones)」が4月16日に発表された。

発表によると同機能は、給与支払い、財務管理、決済といったステーブルコインのユースケースにおいて、取引内容を一般公開せずに実行できる環境を提供するものだという。

現在の主要なステーブルコインネットワークや多くのパブリックブロックチェーンでは、すべての取引が公開される設計となっており、金額や送信者、受取人といった情報が外部に露出するとのこと。このため企業利用においては、機密性の観点で課題があると説明されている。

一方で、既存のプライベートブロックチェーンや秘匿技術では、相互運用性や流動性の低下、あるいは運用の複雑化といったトレードオフが生じるとも指摘されている。

こうした背景を踏まえテンポは、ゾーンズをテンポメインネット(Tempo Mainnet)に接続されたプライベートな実行環境、すなわち並列ブロックチェーンとして設計したとしている。

ゾーンズでは、「ゾーン」と呼ばれる実行環境上で取引が行われる。ゾーン内の取引は一般には公開されない一方で、資産はメインネットや他のゾーン、オンランプ・オフランプ、分散型取引所の流動性と接続されたまま利用できるとされる。なお、現時点でゾーン間移転はテンポのメインネット経由で行われる。

また各ゾーンは、金融機関やインフラ事業者などの信頼された運営主体によって運営される。運営者はトランザクションの処理や可用性の管理を担い、設計上、ゾーン内の取引を確認できる。一方で、資産そのものの管理権は持たず、資金はメインネット上のコントラクトにロックされ、引き出しは資産の所有者のみが行えるとされる。

ユーザーは自身の取引と残高のみを確認でき、外部にはゾーンの正当性を示す暗号学的証明のみが公開される仕組みとなっている。また、トークン発行者が設定する許可リストやブロックリスト、凍結機能などのコンプライアンスルールは、すべてのゾーンに適用されるという。

テンポは、プライバシーに関する既存の手法について、疑似匿名性では十分な秘匿性が確保されないことや、高度な暗号技術を用いる手法では運用の複雑性が増すこと、プライベート台帳では流動性が分断されることなどを挙げ、ゾーンズはこれらのトレードオフを解消する設計だとしている。

一方で同機能は、暗号技術によって情報開示の粒度を細かく制御する仕組みではなく、運営主体やユーザーの権限に応じて可視性を制御するモデルであるとテンポの公式X記事内で説明されている。ゾーン運営者が取引全体を確認できる設計については、規制対応や報告要件への対応を想定したものとのことだ。

現在、ゾーンズは一部のデザインパートナーとの連携により開発が進められており、段階的な本番展開が予定されている。企業の給与、財務、決済、トークン化預金などの用途での活用を想定しているとのことだ。

 参考:テンポ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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