米ストライプ、決済特化ブロックチェーン「Tempo」の開発支援へ

ストライプが決済特化型L1の開発支援

米決済大手ストライプ(Stripe)が、決済特化のレイヤー1ブロックチェーン「テンポ(Tempo)」の開発支援をすると、同社CEOのパトリック・コリソン(Patrick Collison)氏がXより9月5日に発表した。またテンポの公式サイトも公開されている。

テンポは、ストライプとベンチャーキャピタル大手パラダイム(Paradigm)が立ち上げた独立企業が開発を担う。両社は初期投資家として関わり、開発チームは約15名規模。リードはパラダイム共同創業者のマシュー・ホアン(Matt Huang)氏が務めるとのこと。

ストライプは新しいブロックチェーンを構築する背景として、自社サービスや傘下であるブリッジ(Bridge)、プリヴィー(Privy)における暗号資産の利用拡大を挙げる。その一方でストライプは、既存のブロックチェーンは決済ユースケースに最適化されていないと指摘した。

その課題は複数ある。取引手数料がブロックチェーン固有トークンでしか支払えないこと、バッチ転送の非効率さ、そして十分なスループットを確保できていない点だ。ストライプのピーク処理は毎秒1万件を超えるが、イーサリアム(Ethereum)は約20件にとどまり、ソラナ(Solana)やベース(Base)でもおよそ1,000件にすぎない。

こうした課題を解決するために、決済ユースケースに特化したレイヤー1ブロックチェーンとして設計されたのがテンポだ。公式サイトによれば、テンポは毎秒10万件以上の処理性能を備え、サブセカンド(1秒未満)でのファイナリティを実現する。さらに、取引手数料は安定的に低水準で、支払いは任意のステーブルコインで可能とされる。

技術面でも特徴的だ。決済専用レーンを持ち、他の取引と分離して処理できるという。ネイティブのステーブルコイン交換機能(AMM)やバッチ転送、ISO 20022準拠のメモフィールドを搭載する。加えて、コンプライアンス対応のためのブロックリスト/許可リストや、トランザクションのプライバシー保護機能も組み込まれている。

テンポの想定ユースケースには、国際送金、グローバルペイアウト、埋込型金融、マイクロペイメントの他、トークン化預金や自律的エージェントによる決済も含まれる。

パートナーにはアンスロピック(Anthropic)、オープンAI(OpenAI)、クーパン(Coupang)、ドイツ銀行(Deutsche Bank)、スタンダードチャータード(Standard Chartered)、ビザ(Visa)、ショッピファイ(Shopify)、レボリュート(Revolut)などが名を連ねる。これらのパートナーはテンポの設計段階から協力しており、現在はプライベートテストネットを通じて限定的に利用されている。

運営体制は、まず多様な独立系バリデータで開始する。その後、段階的にパーミッションレス型の検証モデルへ移行する計画だ。

なおテンポの開発が進められていることは、8月に暗号資産(仮想通貨)業界のロビー団体ブロックチェーン・アソシエーション(Blockchain Association)のサイトに掲載された求人情報によって明らかになっていた。この求人情報は、米経済誌「フォーチュン(Fortune)」がストライプとパラダイムへ問い合わせした後、取り下げられていた。

参考:テンポ
画像:PIXTA

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