【取材】デジタルガレージと大和証券が2種類のデジタル社債を発行

デジタルガレージと大和証券が2種類のデジタル社債を発行

株式会社デジタルガレージと株式会社大和証券グループがブロックチェーン技術を活用した有価証券発行の実証実験を開始したことを2月26日に発表した。この実証実験で、大和証券株式会社および大和フード&アグリ株式会社が、それぞれ「大和証券デジタル社債」、「大和F&Aデジタル社債」を発行した。

この実証実験ではデジタルガレージの子会社のブロックチェーン金融サービス事業を展開する株式会社クリプトガレージとの連携を通じ、短期間でデジタル社債発行の環境構築を実現できたとのこと。

デジタル社債の発行基盤はデジタルガレージの出資先であるブロックストリーム社の基盤「リキッドネットワーク(Liquid Network)」を活用している。

リキッドネットワークについては「Bitcoinブロックチェーンのフォークであり、Bitcoinのセキュリティを継承しながら、プロ間取引用の決済インフラとして機能性を充実させた半コンソーシアム型チェーン」とリリースで説明されている。

また社債の払込みに関しては、大和証券グループおよびクレディセゾングループのFintertech株式会社が前払式支払手段として「リキッドネットワーク」上に発行したデジタルコインを対価として行われる。そして社債の利払い、買入消却においてもデジタルコインが対価となる予定のようだ。

大和証券デジタル社債は、発行総額1,000万円、払込日と発効日2021年2月25日、償還日2021年3月26日、利率は年0.03%となっている。

大和F&Aデジタル社債は、発行総額100万円、払込日と発効日2021年2月25日、償還日2021年3月26日、利率は年0.10%となっている。そして日本経済新聞の報道によると、償還時に保有している投資家に対しては、大和証券グループが資本参加する株式会社みらいの畑が生産するトマトを特典として付与する予定とのことだ。

今後もデジタルガレージはクリプトガレージを通じて、今後もデジタルアセット関連プロジェクトに積極的に取り組み、技術的な側面から日本の金融・資本市場の発展に貢献していくとともに、デジタルガレージラボ(DG Lab)が進めるブロックチェーン関連事業開発において、STO市場の発展に繋がるデジタルアセット関連の研究開発を進めていく予定だ。

(追記:20時55分)

あたらしい経済編集部は、大和証券グループのデジタル社債発行担当者へ取材をおこなった。

大和証券グループのデジタル社債発行担当者へ取材

ーデジタル社債の発行プロセスは、 従来の社債発行プロセスと比較すると、 具体的に何が異なりましたでしょうか。

担当者:従来の社債発行プロセスでは、 保管振替機構と日銀を通じて証券決済と資金決済が行われております。

本件では、 証券と現金をブロックチェーン上のトークンとすることで、 こうした決済処理について、DVP決済を含め、 簡略化して行うことができました。

今回は社債の発行としましたが、 クラウドファンディングなどで行われている比較的規模の小さいアセットの証券化では、 保管振替機構や日銀のような仕組みもないため、 ブロックチェーンを活用する場合のコスト削減効果は、 より大きいと考えております。

ーリキッドネットワーク上で発行したデジタルコインの仕様、 そして技術基盤としてリキッドネットワークを選んだ理由を教えてください。

 担当者:今回、Fintertechが発行したデジタルコインは前払式支払手段であり、 ブロックチェーン上にその数量が記録されています。

リキッドネットワークを選択した理由は2点あります。1つ目は、 リキッドネットワークが、 ビットコインベースのプロトコルを採用したブロックチェーン技術であり、高いレベルでのセキュリティを担保しつつ、 様々なデジタルアセットの発行や流通等を、 商用化レベルで実現することが可能できるという点です。

 2つ目は、大和証券グループは、デジタルガレージとの連携・協業を深めてきた背景があり、そうした中で、 デジタルガレージの子会社であるクリプトガレージの有するアセッ ト発行やDvP決済等のコンポーネントを利用することで、 リキッドネットワーク上で短期間でデジタル社債発行のための実証実験を実現することが可能であったためです。

(images:iStocks/pgraphis・BestForBest)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

合わせて読みたい記事

【7/26話題】メタプラネットが「Bitcoin Magazine Japan」の独占運営権、ビットフライヤーがFTX Japanの買収完了など(音声ニュース)

メタプラネット、「Bitcoin Magazine」日本版の独占ライセンス取得、SBI、フランクリン・テンプルトンと日本での共同出資会社設立を正式発表、ビットフライヤー、FTX Japanの買収完了、「Jito」、ステーキングプラットフォーム「ジトリステーキング」のコード公開、英FCAがコインベース傘下のCBPLに強制執行、約450万ドルの罰金課す、米ジャージーシティ、年金基金をビットコインETFに投資へ、マイニングの米マラソンデジタルが1億ドル相当のビットコイン購入、完全HODL戦略を採用、クロスチェーンプロトコル「deBridge」、ガバナンストークンDBR発行へ

Sponsored

【7/25話題】SBIが「ビットコイン現物ETF」取り扱い準備か、DEAと東京電力らがDePINの「ピクトレ」を東京で実証試験へなど(音声ニュース)

SBIがビットコイン現物ETF取り扱い準備か=報道、DEAと東京電力らがDePINコンテンツ「ピクトレ」、東京都の3区で実証試験へ、京東コインリンク科技、香港ドルにペッグのステーブルコイン発行予定と発表、フェラーリが暗号資産決済システムを欧州にも拡大、米国での導入に続き、NTTデジタルとマツモト、卒業アルバムにブロックチェーン活用へ、タイ、デジタル資産配布の登録受付を8月1日から開始。デジタルウォレット政策一環で、農産業のRWAマーケットプレイス「Agridex」、ソラナ上で初の農業取引を決済=報道