米国債とレポ取引の収益が寄与、準備金余剰は前四半期からほぼ半減
米ドル建てステーブルコイン「USDT」の発行元テザー(Tether)が、2026年第2四半期(4〜6月)の純営業利益が約15億ドル(約2,366億円)となったと7月31日に発表した。米国債ポートフォリオとレポ取引(国債などを担保とする短期資金取引)の収益が主に寄与したという。
同社は同日、USDTを発行するエルサルバドル法人テザー・インターナショナル(Tether International, S.A. de C.V.)の6月30日時点の財務数値・準備金報告書と、BDOアドバイザリー・サービシズ(BDO Advisory Services)による保証報告書を公表した。
なおBDOアドバイザリー・サービシズは、テザーの同報告書を第三者として検証する、国際会計事務所ネットワークBDOのイタリア法人だ。同社は今回、国際保証業務基準「ISAE 3000(改訂版)」に基づく合理的保証業務を実施し、テザーの財務数値・準備金報告書が重要な点において所定の基準に従い適正に表示されているとの意見を示した。
報告書によると、総資産に当たる準備金は約1,877億5,100万ドル(約29.61兆円)、負債総額は約1,836億4,200万ドル(約28.96兆円)だった。資産が負債を上回る準備金余剰は約41億1,000万ドル(約6,481億円)となった。前四半期末の約82億3,200万ドル(約1.30兆円)からほぼ半減した。
USDTの発行総額は約1,845億9,000万ドル(約29.11兆円)となり、前四半期末から約4億4,600万ドル(約703億円)増加した。テザーによると、USDTのステーブルコイン市場におけるシェアは60%を超えたという。
準備金のうち、現金同等物およびその他の短期預金は約1,406億4,300万ドル(約22.18兆円)だった。このうち米短期国債が約1,149億6,100万ドル(約18.13兆円)を占め、米国債を担保とする翌日物・期間物のリバースレポ残高も合計約256億1,900万ドル(約4.04兆円)だった。
貴金属の評価額は約188億3,800万ドル(約2.97兆円)で、すべてロンドン貴金属市場協会(LBMA)の基準を満たす現物金地金だという。テザーは同四半期に現物金を約14トン追加し、USDTの準備資産として保有する金は約146.2トンとなった。保有量は増えた一方、報告書で採用された金の期末評価単価が前四半期末から約14%下落したため、評価額は減少した。
また、暗号資産(仮想通貨)のビットコイン(BTC)の評価額は約58億200万ドル(約9,149億円)だった。報告書記載の期末評価単価から算出すると保有量は約98,933BTCで、前四半期末から約1,796BTC増加した。一方、BTCの期末評価単価が下落したため、評価額は前四半期末を下回った。
担保付融資の残高は、前四半期末から約23億8,000万ドル(約3,753億円)、率にして15%減少した。純営業利益と準備金余剰は異なる指標であり、金やBTCなどの準備資産は公正価値で評価される。このため、純営業利益を計上していても、保有資産の価格変動などによって準備金余剰は増減する。
テザーCEOのパオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)氏は、金とBTCの市場が大きく変動する中でもUSDTは完全な裏付けを維持したと説明。準備金の流動性と運用規律が、市場サイクルを通じた耐性につながっているとの考えを示した。
なお、今回の財務数値・準備金報告書はテザーの正式な財務諸表ではなく、同社の会計記録から抽出した財務情報を開示するものだ。BDOによる保証は6月30日時点の報告内容に限られ、同日以外の取引や活動、報告書の注記は保証対象に含まれていない。また約15億ドルの純営業利益はテザーの発表文で示された数値であり、BDOの保証報告書には同指標の算定内訳や保証意見は記載されていない。