バランサー、開発組織を解散。昨年の不正流出被害を受け再編へ

バランサーが主要開発組織を解散へ

分散型取引所(DEX)「バランサー(Balancer)」の共同創設者フェルナンド・マルティネリ(Fernando Martinelli)氏が、同プロトコルの開発を担ってきたバランサーラボ(Balancer Labs)を解散する方針を示した。マルティネリ氏がフォーラム投稿で3月24日に明らかにした。

バランサーを巡っては、昨年11月3日にV2の一部プールで不正流出が発生している。被害額は約1億2,800万ドル(約203.5億円)規模とされ、複数のチェーンにまたがるプールが影響を受けた。この攻撃は、スワップ処理における丸め誤差を悪用したものと分析されている。

同氏によると、これにより同組織が継続的な法的リスクを抱える状態となったという。具体的には未回収資産の存在や運用上の負担、ユーザーの信頼低下といった課題が生じたと説明している。そのうえで、「問題は技術ではなく、それを取り巻く経済モデルと構造にあった」との認識を示した。

また、収益源を持たない企業体としてのバランサーラボが、プロトコルにとって負担となっていたとの認識も示した。

一方で同氏は、プロトコル自体は今後も継続して運営されると述べている。現在は自律分散型組織(DAO)や財団、サービスプロバイダを中心とした体制が構築されており、従来の企業組織を維持する必要性は低下しているという。

また、こうした状況を受けてバランサーのコア開発者であるマーカス・ハルト(Marcus Hardt)氏らは、プロトコルの再編に向けたガバナンス提案を公開している。

同提案では、ガバナンストークン「BAL」の新規発行を停止し、プロトコル手数料の100%をトレジャリーに配分する方針が示されている。また、スワップ手数料におけるプロトコル取り分を引き下げ、流動性提供者(LP)の収益性を高める設計とすることも含まれる。

さらに、既存のveBALガバナンスモデルの見直しや、トークン保有者に対する買い戻しおよび補償施策の実施も検討されている。あわせて、開発体制のスリム化やプロダクト開発の集中など、運営構造の簡素化も進められる見込みだ。

ハルト氏は自身のXアカウントにおいて、流動性誘致のための支出が実際の収益に対して過大であったと指摘しており、経済モデルの持続可能性に課題があったとの認識を示している。

なお、バランサーは現在もプロトコルとして収益を生み出しており、機能自体は維持されているとされる。今回の一連の提案は、こうした基盤を前提としつつ、より持続可能な構造への転換を図るものと位置付けられている。

これらの提案は現在ガバナンスフォーラム上で公開されており、今後コミュニティによる議論および投票が進められる見込みだ。

参考:バランサーフォーラムマーカス・ハルト(X)
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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