リップル技術陣、XRPレジャーの将来設計を議論。ステーキング導入は思考実験として提示と強調

XRPLの将来設計でステーキング案が議論に

米リップル(Ripple)社の開発部門リップルX(RippleX)でエンジニアリングを統括するJ・アヨ・アキンイェレ(J. Ayo Akinyele)氏が、ブロックチェーン「XRPレジャー(XRP Ledger)」にネイティブのステーキング機能を導入する可能性についての考察を11月19日に自身のXアカウントに投稿した。

アキンイェレ氏はXRPレジャーがこれまで国際送金やトークン化資産の決済などに利用されてきたことを踏まえ、今後のユースケース拡大に伴うネットワーク設計を検討する中でステーキングという選択肢が自然と浮上したと述べた。

同氏はネイティブのステーキングを実装するためには、報酬の供給源の確保と、公平な分配方法という2点が不可欠だと指摘している。加えて現行のXRPレジャーでは取引手数料が焼却される設計であるため、ステーキングを導入する場合は「価値の循環モデル」を再構築する必要があると説明した。また新たな報酬源として、将来的なプログラマビリティ機能に伴う手数料などを報酬プールに送る方式を例として示した。

同氏はさらに、ステーキング導入の議論は「すぐに実装する計画を意味するものではない」と述べている。あくまでもXRPレジャーのネットワークの公平性・信頼性・レジリエンス(回復力)を保つために、どのような設計が適切かを検討すること自体に意義があると説明した。そのためステーキング導入の是非よりも、設計がネットワークに与える影響を理解することが重要だとしている。

アキンイェレ氏の投稿に対し、リップル最高技術責任者(CTO)のデイビッド・シュワルツ(David Schwartz)氏も同日自身のXアカウントで言及した。同氏はXRPレジャーにステーキングを組み込む可能性について、インセンティブ層を追加する2層型コンセンサスモデルへの移行や、ゼロ知識証明を活用して取引手数料からコストを支払う方式など複数のアイディアを紹介した。

ただしシュワルツ氏も現時点でXRPレジャーへのステーキング導入の実現可能性は高いわけではないと述べている。これらの案は技術的には興味深い一方で、実際の導入の可否は未定であると説明した。

アキンイェレ氏の投稿にはコミュニティ関係者からも意見が寄せられ、とりわけヴェト(Vet)氏との間で議論が交わされた。ヴェト氏は現行XRPレジャーのコンセンサス設計との整合性や導入時の影響を指摘した。その指摘にアキンイェレ氏は回答する一方で、ステーキング導入はあくまで「思考実験」であることを繰り返し強調している。

XRPレジャーは2012年にローンチされたパブリックブロックチェーンで高速送金と手数料焼却による供給調整を特徴とする。XRPレジャーのコンセンサスモデルは「プルーフ・オブ・アソシエーション(Proof of Association)」と呼ばれる仕組みで、バリデータは金銭的なステークではなくネットワーク参加と信頼関係に基づき選定される。

ちなみに今回の議論で意見を述べたシュワルツ氏は、自身のXアカウントで2025年末をもってリップルCTOを退任すると10月に発表している。同氏は退任してもXRPコミュニティから離れるわけではないとし、取締役会の一員として同社の長期ビジョンを支える方針を示している。

参考:J・アヨ・アキンイェレ氏ブログ
画像:PIXTA

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