B3にデジタル識別の乳牛担保融資取引が登録
ブラジルの証券取引所・金融市場インフラ運営会社B3に、デジタル識別された乳牛を担保とする10万レアル(約320万円)の融資取引が登録された。同国メディア「CNNブラジル(CNN Brasil)」が7月21日に報じた。
報道によると今回の取引では、乳牛の健康状態や行動、位置情報などを基に生成された暗号化済みの固有コードが、金融決済型の農産物証券「CPRフィナンセイラ(CPR Financeira:CPR-F)」を用いた融資契約にひも付けられ、担保情報としてB3に登録された。乳牛の状態を継続的に確認できる担保として扱うことで、家畜を担保とする融資の信頼性を高める狙いがあるという。
CNNブラジルは今回の取引について、「トークン化」された乳牛を担保とする正式な信用取引がB3に登録された初の事例だと報じている。
なお、一部報道では、乳牛のデジタル識別情報がブロックチェーンで保護されると説明されている。一方、使用するブロックチェーンやトークン規格、スマートコントラクトなど、具体的な技術構成は明らかにされていない。また、確認できるのは融資取引と担保情報がB3に登録されたことであり、乳牛を表すトークンがB3で上場・売買されたことは確認できていない。
今回の融資取引における担保管理には、畜産向けテクノロジー企業カウメッド(Cowmed)のスマート首輪が利用された。
カウメッドによると、同社のスマート首輪は、乳牛の活動、反すう、休息、あえぎ呼吸などの行動データを継続的に取得し、健康、繁殖、栄養、暑熱ストレスなどの分析に活用する。CNNブラジルは、今回の仕組みで健康状態や行動、位置情報が監視されると伝えている。
取得されたデータは暗号化された固有のデジタルコードに変換され、各乳牛を識別する電子的な識別情報として利用されるという。
今回のプロジェクトでは、乳牛ごとの固有コードを担保情報としてB3へ登録することで、同じ牛群が複数の融資で重複して担保に設定されることを防ぐ。また乳牛が死亡した場合には、生産者が担保対象を別の個体へ差し替えられる仕組みも設けられた。さらに、融資期間中の担保価値を維持するため、取引には必要額に対して約20%多い個体を組み入れる設計が採用されたという。
ブラジルの農業専門メディア「グローボルーラル(Globo Rural)」によると、今回の取引には、ブラジル・パラナ州イムビトゥバにある酪農場ファゼンダ・エンジェーニョ・ヴェーリョ(Fazenda Engenho Velho)が参加したという。同農場では、評価額合計12万レアル(約384万円)の乳牛10頭が、額面10万レアル(約320万円)のCPR-Fの担保として提供されたという。
同農場の生産者は、ブラジル中央銀行認可のデジタル融資会社BMPソシエダーデ・デ・クレジット・ディレート(BMP Sociedade de Crédito Direto)を受取人として、10万レアル(約320万円)のCPR-Fを発行したとのこと。これにより、生産者はBMPから資金提供を受けたという。。CPR-Fは、農業生産者や協同組合などが発行し、農産物の現物引き渡しではなく、満期に金銭で決済する農産物証券だ。
その後、BMPはCPR-Fに基づく債権を、債権への投資・運用を行うファンド「ターゲットFIDCムルチクレジット(Target FIDC Multicrédito)」へ譲渡したという。これにより同ファンドは債権者となり、取引をB3に登録した。
なおCNNブラジルによると、この仕組みでは、生産者は調達した資金を資金繰りや設備購入、生産活動に先立つ費用などに充てられるという。
また、カウメッドは、ブラジルと米州の他国にある1,000超の農場で約10万頭の乳牛を監視している。対象牛群の推定価値は、20億レアル(約638億円)を超えるという。
さらに、カウメッドのチアゴ・マルティンス(Thiago Martins)CEOは、現在監視する牛群の20%が今後2年間に融資の担保として提供されれば、デジタル識別された乳牛を担保とする融資取引は約4億レアル(約128億円)規模になる可能性があると予測している。
参考:CNN
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