老舗アクティブ運用会社のティー・ロウ・プライス、暗号資産ETFを初申請

ティー・ロウ・プライスが初の暗号資産ETF申請

老舗のアクティブ運用会社であるティー・ロウ・プライス(T. Rowe Price)が、複数のデジタル資産に連動するアクティブ運用の上場投資信託(ETF)の設定に向け、米証券取引委員会(SEC)に10月22日付で提出した書類で承認を申請した。

運用資産1.77兆ドル(約269兆8,188億円)規模の同社にとって、これは暗号資産分野への初の本格参入への動き。SECがビットコイン現物ETFを承認してから約2年を経てのこととなる。

モーニングスター(Morningstar)のETFアナリスト、ブライアン・アーマー(Bryan Armour)氏は「ティー・ロウ・プライスの市場参入はやや遅めに見えるが、差別化した商品でこの分野に食い込もうとしている」と述べた。

アーマー氏によれば、資産運用会社が個別コイン連動のETF申請をSECに相次いで出す一方で、複数銘柄を組み入れるアクティブ運用の新商品提案は依然として稀だという。

目論見書によれば提案中のETFは、組入れ基準を満たす5〜15銘柄へのエクスポージャーを投資家に提供する予定。現時点の候補にはビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(Solana)、ドージコイン(DOGE)、シバイヌ(SHIB)などが含まれる。運用会社は「FTSE Crypto US Listed Index」のアウトパフォームを目指し、ファンダメンタルズ、バリュエーション、モメンタム要因を用いて保有資産とポートフォリオ内のウエイトを決定する方針だと、同社の広報担当者はロイターに述べた。

アーマー氏によれば、ティー・ロウ・プライスは従来型投資信託からの資金流出が続く中、新規分野への多角化を図っている。同社は近年24本のETFを立ち上げ、先月にはゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)との新たな提携を発表し、個人投資家向け新規私募市場商品の開発方法を模索している。この合意の一環として、ゴールドマンはティー・ロウ・プライス株の最大3.5%を取得する計画だ。投資規模は最大10億ドル(約1,524億4,000万円)に上る可能性がある。

ティー・ロウ・プライスについてアーマー氏は「新しいニッチを探している企業だ」と評した。

ティー・ロウ・プライスの広報担当者によれば、同社は近年、デジタル資産分野の動向を綿密にモニタリングし、デジタル資産の取引能力を整備してきた。2022年には、暗号資産ヘッジファンドの元エグゼクティブであるブルー・マチェラリ(Blue Macellari)氏をデジタル資産戦略責任者として採用している。

ETF市場分析会社ベッタファイ(VettaFi)のリサーチ責任者、トッド・ローゼンブルース(Todd Rosenbluth)氏は「株式と債券の枠を超えてETFの品揃えを拡張している点は注目に値する」とティー・ロウ・プライスについて話した。

一方で、政府機関の一時閉鎖(シャットダウン)の影響でSECの人員体制が削減されている中、多数の暗号資産ETFが承認待ちの状態にある。SECが新たな上場基準を採用して商品化の道筋を整えたにもかかわらず、シャットダウンが解消するまではティー・ロウ・プライスのETFを含め、承認される見込めみは薄い。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
T. Rowe Price files for its first crypto ETF
(Reporting by Suzanne McGee in Providence, Rhode Island, and Arasu Kannagi Basil in Bengaluru; Editing by Alden Bentley, Shilpi Majumdar and Matthew Lewis)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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