コンセンシスがWeb3Auth買収、MetaMaskのシードフレーズ管理を不要に

ConsensysがWeb3Auth買収

Web3ウォレットのメタマスク(MetaMask)を提供するコンセンシス(Consensys)が、Web3アプリケーション向けのキー管理および組み込み型ウォレットインフラを手がけるウェブスリーオース(Web3Auth)を買収したと6月2日に発表した。なお買収額は公表されていない。

この買収によりコンセンシスは、メタマスクのユーザー体験を大幅に向上させ、セルフカストディ(自己保管型)ウォレットにおける課題のひとつであるシードフレーズ管理の問題を解消するとのこと。

最近のデータによると、ユーザーの約35%がシードフレーズのバックアップを取っておらず、資産喪失のリスクを抱えているという。

なお、今後ウェブスリーオースの技術は段階的にメタマスクへ統合される予定とのこと。これにより、メタマスクの利用者はソーシャルログインやデバイス認証など、Web2で馴染みのある方法でウォレットを作成・復元可能できるようになり、シードフレーズの手動バックアップが不要になるとしている。

また開発者は今後、ウェブスリーオースが提供する組み込み型ウォレットSDKやキー管理インフラを活用することで、ウォレット管理の複雑さを軽減できるようになるという。

さらにウェブスリーオースの組み込み型ウォレットソリューションは、コンセンシスが提供するノードホスティングサービス「インフラ(Infura)」のJSON RPC機能や、メタマスクのユーザー体験を再構築するための「デリゲーションツールキット(Delegation Toolkit)」と統合されるとのこと。

この統合により開発者は自らのアプリケーション上で、エンドユーザーに対し、よりスムーズなオンボーディング体験を提供可能になるという。

また将来的には、メタマスクのブラウザ拡張版およびモバイル版において、多要素認証を活用したオンボーディング機能の実装も予定されているとのこと。

なお「インフラ」は、分散型アプリケーション(dApps)やスマートコントラクトとブロックチェーン間の通信を仲介するRPC(Remote Procedure Call)を提供しており、多くのdAppsがリアルタイムでブロックチェーンデータを取得する際に利用している。RPCとは、ブロックチェーンに対して処理の実行指示を行うための通信プロトコルの一種である。

一方「デリゲーションツールキット」は、dAppsとWeb3プロトコルを、よりシームレスかつ直感的なユーザー体験として再構築できるツールキットである。

具体的には、ブラウザ拡張機能やモバイルアプリのダウンロード、シードフレーズの書き留めといった従来の手順が不要となるほか、ポップアップや確認メッセージの表示、dAppsとウォレット間の切り替えも必要なくなる。さらにガスレス取引やガスコストの委任・再割り当ても可能となっている。

参考:Consensys
画像:iStock/greenbutterfly

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一本寿和

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
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