香港でステーブルコイン発行に規制明確化
香港の立法機関が、法定通貨連動型ステーブルコイン発行者を対象としたライセンス制度を導入する法案を5月21日に可決した。これにより、今後ステーブルコインを発行する事業者に対する規制の明確化が図られる。
香港政府のプレスリリースによれば、新たな制度の下では、香港でステーブルコインを発行する者、または香港ドルを裏付け資産とするステーブルコインを香港内外で発行する者は、香港金融管理局(HKMA)からライセンスを取得する義務があるとされている。
この法案には、準備資産の管理、償還プロセス、リスク管理などに関する要件も盛り込まれており、一般市民および投資家の保護を目的としている。
香港は、独自のステーブルコイン規制体制の整備を進めており、それにより国際的なデジタル資産拠点としての競争力を高める狙いがある。
ステーブルコインとは、一定の価値を維持するよう設計された暗号資産(仮想通貨)であり、通常は米ドルなどの法定通貨と連動している。こうした通貨は、暗号資産トレーダーがトークン間で資金を移動させる際によく利用される。
香港の金融サービス・財務局長のクリストファー・ホイ(Christopher Hui)氏は、「この条例は『同じ行為には同じリスク・同じ規制』という原則に従い、リスクベースのアプローチを重視して健全な規制環境を促進するものである」と述べた。
またホイ氏は、本条例が香港の仮想資産市場の堅固な基盤を築くものであるとも付け加えた。
なお、香港金融管理局が昨年開始したステーブルコイン発行者向けサンドボックスプロジェクトには、すでに3社が参加している。
この条例は年内にも施行される見通しである。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Hong Kong passes stablecoin bill, one step closer to issuance
(Reporting by Summer Zhen, Editing by Louise Heavens)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:iStocks/daboost