バイナンス、米当局と和解後にコンプライアンス遵守へ向け注力、新CEO語る

過去の運営体制乗り越え

大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)の新CEOのリチャード・テン(Richard Teng)氏は、バイナンスが過去の運営体制を乗り越え、コンプライアンス遵守へ向けて注力しているという。パリブロックチェーン(Paris Blockchain Week)中に行われたCNBCのインタビューにてテン氏が4月9日明かしている。

なおテン氏は、昨年11月に辞任した前CEOであるチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao:CZ)氏の後任としてバイナンスのCEOに就任した人物だ。30年以上の金融サービスと規制に関する経験を持ち、バイナンスで地域市場部門のグローバルリーダーを務めてきたテン氏は、バイナンスで注力することの一つとして、規制対応への強化を掲げている。 

テン氏は「そうした非常に初期の発展段階、それに関する明確な情報がない、ルールの黎明期である、発展の初期段階において、バイナンスはある特定の方法で運営されていた」と述べた。これはバイナンスが先に行動し、後で許しを請うやり方を実行していたという、司法省(DOJ)から指摘されていた内容を認めた形となった。

しかしテン氏は、バイナンスが会社としてより成熟するにつれ、その問題を乗り越えてきたとし、「私たちは持続可能性に目を向けている。方向性は非常に明確で、より多くのコンプライアンスを遵守する方向に向かっており、非常に堅牢なコンプライアンス・プログラムを構築している」と続けている。

昨年11月、バイナンスは商品先物取引委員会(CFTC)、財務省、司法省を含む米国当局との和解のため、合計で約43億ドル(約6,370.3億円)の罰金を支払うことに合意した。

CFTCの報告文によれば、CZ氏とバイナンスは、米国の規制要件を認識していたが、それを無視することを選び、プラットフォーム上に米国顧客がいることを故意的に隠したり、CZ氏をはじめとしたバイナンスの幹部らが米国顧客にコンプライアンス管理を回避するよう指示する等、米国法違反を積極的に助長したとのことであった。

4月、バイナンスは米国規制当局の懸念に応えるため、初の取締役選任を行っている。

バイナンスの取締役会の大半が会社内部の人間で構成されるという決定を下したことについて尋ねられたテン氏は、今後のバイナンスのビジネスを推進する人材が会社のニーズに対応できる「ユニークな」人材であることを確実にすることが重要だと述べたという。

「企業責任者の立場からバイナンスを前進させる方法について、外部からの意見だけでなく、内部からの意見もうまく組み合わせている」とテン氏は述べ、現在の取締役会の構成は、「強固な持続可能なビジネス」に向かうための適切な技術・製品の強化に重点を置いていると続けたという。

またテン氏は、バイナンスグローバルの本社をどこに置くかについて、現在いくつかの選択肢を考えているとのこと。

バイナンスのサービスの幅と深さに対応する規制枠組みがあるかや、多くのスタッフが拠点にできる地域かなど、複数の事項を考慮しながら、他の企業と同様に本拠地について視察して回るとテン氏は伝えている。

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参考:CNBC
images:iStock/taa22

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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