ボーダフォンと住友商事ら、チェーンリンク開発のCCIPで貿易ソリューション実証実験

貿易のIoT実験を実施

英携帯電話企業ボーダフォン(Vodafone)が、住友商事、分散型オラクルネットワーク「チェーンリンク(Chainlink:LINK)」開発のチェーンリンクラボ(Chainlink Labs)、ITサービスおよびITコンサルティングを提供するイノウェーブ(InnoWave)と共同で、プラットフォーム上で貿易文書を交換するための実証実験を行ったと10月24日発表した。

この実証実験は、様々なプラットフォームや複数のブロックチェーン間で貿易文書をシームレスに交換することに焦点を当てたものだ。

ボーダフォンによると、貿易文書の交換は非効率的で信頼性の低い紙やデジタルのプラットフォームでのやり取りが主流であり、相互運用性の低さから国際的な商取引の様々な分野で状況が複雑化する問題が起きているという。

実証実験ではチェーンリンク開発のクロスチェーン相互運用プロトコル「CCIP(Cross-Chain Interoperability Protocol)」とボーダフォンのデジタル・アセット・ブローカー(DAB)が使用されたとのこと。これにより参加企業はネットワークで結ばれたIoTデバイス間のセキュリティと相互運用できるようにしたという。

これにより、ボーダフォンのIoTデバイスとブロックチェーンの両方でデータとトークンを転送するための単一のインターフェースが作成されるという。

ボーダフォンは、実証実験の結果、DAB対応のIoTデバイスとブロックチェーンが、スマートコントラクト、さらにはブロックチェーンやAIアプリケーションで使用するための、安全で信頼性の高い、追跡可能なデータが提供できる可能性が高いとしている。

またこれについてボーダフォンは「例えば、貨物の火災を検知した船舶が自律的にDABのプラットフォームとCCIPを介してスマートコントラクトにデータを中継し、海上貨物保険のプロセスを発動させる可能性がある」と述べている。

またボーダフォンのDABは、チェーンリンクのネットワークにノードオペレーターとして参加することも発表。

チェーンリンク・ネットワークのノード・オペレーターになることで、ボーダフォンのDABは、データ交換と計算を安全かつ合理化し、企業やビジネスがスマート・コントラクトを開発・展開するのを支援する役割を果たすという。

ボーダフォンDABの最高製品責任者であるデビッド・パーマー(David Palmer)氏は「IoTとブロックチェーンの統合は、IoTデバイスに新たな収益化の機会を提供する可能性を秘めている。2030年までに30億台のIoTデバイスがモノのインターネットにおける経済で取引されると予測されている。この成長を促進するためにも、DABとチェーンリンクの間でコンセンサスと検証を確保することが重要」と述べている。

CCIPについて

「CCIP」は、パブリックブロックチェーンとプライベートブロックチェーンの両方にわたってアプリケーションをリンクするように設計されたクロスチェーン相互運用プロトコルだ。Chainlinkの分散型オラクルネットワークが利用されているとのこと。

開発者は、任意メッセージングを使用して「CCIP」上に独自のクロスチェーンソリューションを構築できるだけでなく、「CCIP」は簡素化されたトークン転送も提供するという。これにより、プロトコルは制御する監査済みのトークンプールコントラクトを使用して、記述することなくチェーン間でトークンの転送を迅速に開始できるとのこと。

同プロトコルにより、独自のブリッジソリューションを構築することなく、単一のインターフェイスからブロックチェーン間でトークン転送ができる他、ユーザーが1つのブロックチェーンに担保を預け、別のブロックチェーンで資産を借りられるようにするクロスチェーン融資アプリケーションの起動も可能になるとのことだ。

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参考:ボーダフォン
images:iStocks/metamorworks・Who_I_am

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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