北米証券監督者協会が「デジタル資産の特別扱い」に反論、SECのコインベース訴訟の準備書面で=報道

SECを支持

証券規制当局で構築される北米証券監督者協会(NASAA)が、ニューヨーク地裁に対して、米証券取引委員会(SEC)と大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)の訴訟において「デジタル資産を特別扱いしない」よう求めた。暗号資産専門メディアのザ・ブロック(The Block)が10月10日報じた。

報道によればNASAAは10月10日に提出したコインベース訴訟の準備書面にて、この主張を行い、SECを支持したという。

SECは6月、コインベースが規制当局に登録することなく、証券取引所・ブローカー・清算機関として違法に営業しているとして訴えている。

NASAAは、1919年に設立された投資家保護を目的とする国際組織だ。米国・コロンビア特別区・プエルトリコ・グアム・米領ヴァージン諸島の証券監督当局・カナダの13の州・準州の証券監督当局、およびメキシコの証券監督当局で構成される任意団体である。

NASAAは文書にて、「裁判所は、国内の証券市場における他のすべての参加者と同じ規制義務に服することを避けるために、確立された法的枠組みを狭め、誤用しようとするコインベースの試みを拒否すべきだ。そして裁判所は、デジタル資産を特別なものとして扱うことを拒否すべきである」と述べているという。

またNASAAは、SECによるコインベース訴訟は「特別なものではない」と述べ、SECが度々引用するハウィー判例法を引き合いに出し、「ハウィー判例法に照らせば、ある種のデジタル資産は投資契約である」というSECの主張は「確立された法律の範囲内である」と述べている。

なおハウィー判例法は、1946年に起きたSEC対W. J. Howey社事件の際に裁判所が「投資契約」の判断基準として定めたもの。後年「ハウィーテスト(Howey test)」と呼ばれるようになった。「ハウィーテスト」は、米国において特定の取引が、証券取引の定義の一つである「投資契約」に該当するかどうかを判定するテストである。

またNASAAは、SECはデジタル資産に関して新たな法律を打ち出すのではなく、現行法を執行していると主張。

複雑で進化する金融市場において現行法を新たな事象に適用する際に、「議会による明確な承認が必要である」ということはありえないとの見解を示した。

NASAAはまた、「メジャー・クエスチョン・ドクトリン(major questions doctrine)」が暗号資産に適用できるという考えに反対の姿勢を示している。

「メジャー・クエスチョン・ドクトリン」とは国家的に重大な意味を持つ問題について当局が決定権を行使する場合、議会の承認がなければならないとする、米国の行政法における法解釈の原則だ。これには2つの要素があり、1つは、そのテーマが国の経済や国民に大きな影響を与えるかどうかに焦点を当てたもの。もう1つは、連邦機関が新たな規制を実施する明確な権限を持っているかどうかである。

NASAAは「投機以外の実用的な経済的ユースケースが特定されておらず、広く採用されていないデジタル資産は、米国経済にとって重要な構成要素であると合理的に考えることはできない」とし、経済的・政治的重要性という点で暗号資産が「メジャー・クエスチョン・ドクトリン」に適用されるケースと比較することは不可能と主張している。

米議会の規制法案提出にも言及

またNASAAは、米議会の暗号資産規制法案についても言及。「議会は将来的にデジタル資産に対する包括的な規制の枠組みを法制化する可能性はあるが、まだ法制化はしていない。議会がそれを実行しない可能性もある」と述べた。

米議会へは暗号資産の規制に関する複数の法案が提出されてきたが、制定されたものは未だない状況だ。

具体的には、ステーブルコインの連邦規制枠組みを確立する法案や包括的アプローチで暗号資産規制枠組みを構築する法案だ。

しかしその法案には、金融委のマキシン・ウォーターズ(Maxine Waters)下院議員ら民主党の一角から強い反発が出ている他、シェロッド・ブラウン(Sherrod Brown)上院銀行委員長が新たな暗号資産規制法案の必要性に懐疑的な見方を示していた。

下院金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー(Patrick McHenry)委員長は7月27日の公聴会で、ステーブルコインの連邦規制枠組みを確立する法案について、民主党と共和党は合意に至らなかったと述べていた。

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参考:The Block
デザイン:一本寿和
images:iStocks/ablokhin

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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