セバ銀行に香港での運営の原則認可が下りる、暗号資産サービス提供へ歩み進める

APAC戦略における重要なマイルストーン

スイスのデジタル資産銀行であるセバ銀行(SEBA Bank)の地域子会社セバ香港(SEBA Hong Kong)に、香港証券先物委員会(SFC)より原則認可(AIP)が下りた。セバ銀行が8月30日発表した。

この承認を取得すれば、セバ銀行は香港で暗号資産投資サービスを提供する最初の認可企業グループとなるという。

発表によると、この承認によりセバ香港は店頭デリバティブなどの他、仕組み商品などの暗号資産(仮想通貨)関連商品の取り扱い、暗号資産に関する助言、伝統的な証券と暗号資産の一任口座での資産管理が可能になるとのことだ。

SEBA香港のアジア太平洋地域(APAC)最高経営責任者(CEO)、エイミー・ユー(Amy Yu)氏は「私たちは、香港が世界の暗号資産市場のリーダーになる道のりに大きな可能性を感じており、その軌跡に貢献できることを楽しみにしている。SEBA香港は、香港が世界的な規制基準の模範となっていることを高く評価し、アジア太平洋地域における当社の規制対象地域を拡大する上で、このライセンスが果たす役割を高く評価している」と述べている。

またセバ香港は、2023年第4四半期までに完全認可のライセンスを取得する予定だという。ユー氏の言葉を引用するかたちで各メディアが報じている。

なおセバ銀行は、セバ香港の完全ライセンス取得が同社にとって重要なマイルストーンになると説明している。

香港では2023年6月1日より、暗号資産サービスプロバイダー(VASP)に対するライセンス制度を導入する法律が施行されている。これにより香港で暗号資産関連サービスを提供したい事業者は、SFCにライセンス申請を行う必要がある。

さらに認可されたVASPとその完全子会社は、監査済みの財務情報などをSFCに定期的に提出する必要があるとのことだ。

セバ銀行について

セバ銀行はスイスにおけるデジタル資産を扱う銀行として、シグナム銀行と共に同国の金融市場監督局から銀行ライセンスが2019年に付与された。

また2020年7月には、金融商品の発行や決済サービスを提供するDigital Asset Shared Ledger (DASL)と提携し、デジタル証券の発行や投資機能の提供を開始した。このデジタル証券は米R3社のブロックチェーン「コルダ(Corda)」上で発行され、流通されている。

そして2021年9月には、投資家保護を目的に集団投資スキーム(ファンド)のカストディ銀行としてのライセンス(the CISA licence)をスイスの金融規制当局である金融市場監督局(FINMA)から付与された。

その後2021年10月には、機関投資家が主にDeFi(分散型金融)プラットフォームのトークンをファーミングする(利回りを得る)為のサービス「SEBA Earn」の提供開始している。

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参考:SEBA BANK
デザイン:一本寿和
images:iStocks/LeeYiuTung

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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