企業向けレイヤー1ブロックチェーン「Chia Network」、米SECにIPO申請

Chia Networkが米SECにIPO申請

低エネルギーで運用可能とする企業向けパブリックブロックチェーン「チアネットワーク(Chia Network)」を提供するチアネットワーク社が、米証券取引委員会(SEC)に「Form S-1(フォームS-1)」を提出したことを4月14日発表した。

「Form S-1」は、米国において新規株式公開(IPO)を行うための証券登録届出書(開示書類)。日本における目論見書や有価証券届出書にあたる書類である。

発表によると今回のチアネットワーク社による「Form S-1」提出は、「秘密裏」による事前申請になるという。これは企業の機密情報を守る手法であり、これにより同社は、正式申請までにIPOの規模を柔軟に変更することが可能になる。

その為今回の発表では、普通株の公開数と値幅は未定と報告されている。IPOはSECの審査手続き終了後、市場その他の条件に沿って開始されることになる。

なおこの発表を受け、「チアネットワーク」のネイティブトークンである「XCH」は価格上昇。40ドル程度だった「XCH」は一時過去最高値となる48.73ドルまで上昇した。なお記事執筆時点(4/17 13:00)では44.7ドルの値を付けている。

「チアネットワーク」はエンタープライズ向けのレイヤー1ブロックチェーン。今回の発表のようにIPOを目指しているため「XCH」はバランスシートに記載される予定である。

同ネットワークを開発するチアネットワーク社は、P2P(Peer to Peer)を用いたファイル転送用プロトコル及びその通信を行うソフトウェア「BitTorrent(ビットトレント)」を開発したブラム・コーエン(Bram Cohen)氏が2017年に米デラウェア州で設立した企業。

「チアネットワーク」では、トランザクション(取引)の検証に独自のコンセンサスアルゴリズム「PoST(Proof of Space and Time)」を用いている。「PoST」では、ハードディスク領域をコンセンサスアルゴリズムの基盤として使用するという。これにより同ネットワークではマイナーやバリデーターの代わりに、ハードディスクやソリッドステートドライブに100GBのハッシュの「プロット」を書き込む「ファーマー(マイナー)」が検証を行うとのことだ。

なおチアネットワーク社は、2021年5月にシリーズBで6,100万ドルの資金調達を実施。同ラウンドにはa16z(アンドリーセンフォロウィッツ)やBreyer Capital(ブレイヤーキャピタル)、True Ventures(トゥルーベンチャーズ)などが出資参加しており、当時伝えられたところによると、同社の評価額は5億ドルとの事だった。

関連ニュース

参考:Chia Network
デザイン:一本寿和
images:iStocks/TimArbaev

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

合わせて読みたい記事

【3/17話題】OmakaseとビットポイントがBabylonでビットコインステーキングへ、テレグラム創設者が仏出国かなど(音声ニュース)

ブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)・フィンテックについてのニュース解説を「あたらしい経済」編集部が、平日毎日ポッドキャストでお届けします。Apple Podcast、Spotify、Voicyなどで配信中。ぜひとも各サービスでチャンネルをフォロー(購読登録)して、日々の情報収集にお役立てください。

Sponsored

米コインベース、カルダノ(ADA)と天然ガス(NGS)の先物提供をCFTCに申請

米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)傘下のデリバティブ部門「コインベースデリバティブズ(Coinbase Derivatives)」が、暗号資産カルダノ(ADA)および天然ガス(NGS)の先物取引提供に向けた自己証明書(Self-Certification)を米商品先物取引委員会(CFTC)に申請した。コインベースが3月14日にXで発表した

ブラックロックのトークン化ファンド「BUIDL」、運用資産額が10億ドル突破

「ブラックロック・米ドル機関投資家向けデジタル流動性ファンド(BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund:BUIDL)」 の運用資産額が10億ドル(約1,488億円)を突破した。同ファンドのトークン化を担当しているデジタル資産発行プラットフォーム運営のセキュリタイズ(Securitize)が3月14に発表した

NRI・野村證券・BOOSTRYら、国内初の「デジタル債のDVP決済」と「デジタル通貨での証券決済」を実証

野村総合研究所(NRI)、野村證券およびBOOSTRY(ブーストリー)、ディーカレットDCP、三井住友銀行の5社が、「新たな決済スキームを利用したデジタル債の新規発行」および「デジタル通貨を利用した証券決済の概念実証(PoC)」に関して協業したことを3月14日に発表した