訪日外国人が還付金をウォレットで受け取り可能に
免税手続き・還付サービスを提供する日本免税と、ウォレット基盤などを開発するアップボンド(UPBOND)が、日本円建てステーブルコイン「JPYC」による免税還付サービスを11月1日に開始すると10月29日に発表した。
この取り組みでは、日本免税の免税還付サービス「ジャパンリファンド(JapanRefund)」と、アップボンドのウォレット基盤を連携させる。訪日外国人旅行者は、税関確認と必要な照合・還付処理の完了後、還付金をJPYCで受け取れるという。
JPYCは、日本円に連動するステーブルコインで、資金決済法上の電子決済手段に位置付けられる。
今回のサービスは、11月1日からの消費税免税制度の「リファンド方式」への移行に合わせて開始するものだ。同方式では、旅行者が免税店でいったん税込価格を支払い、出国時に税関で購入品の国外への持ち出しが確認された後、消費税相当額の還付を受ける。免税購入品の国内転売などの不正を防ぐ狙いがある。
提供体制では、日本免税が免税・還付業務を担い、アップボンドが受取用ウォレットの作成・認証、還付システムと送金機能の連携、送金状況の確認に対応する。ウォレットを持っていない旅行者も、受取先の準備から還付金の受け取りまで進められる仕組みを提供するとのこと。送金には、アバランチ(Avalanche)の「Cチェーン(C-Chain)」を利用する予定だ。
日本免税とJPYCの発行元であるJPYC社は3月3日、制度移行に向けた免税還付モデルの構築を目的とする業務提携を発表していた。
店舗や還付事業者が旅行者へ還付金を返す方法には、クレジットカードへの返金や銀行振込がある。これらの方法では、返金先となるカードや口座の情報が必要になる。両社は、店舗がこれらの情報を取得・管理する仕組みでは、情報漏えいのリスクや現場負担が生じると指摘していた。また、カードの解約・番号変更による返金不能や、着金まで数週間を要するケースも課題に挙げていた。
さらに、海外送金やカード返金の手数料が積み重なることによるコスト増大、現金性の高い還付手段を通じたマネーロンダリングや不正利用のリスクも指摘していた。制度の枠組みが整っても、還付手段の設計によっては別の不正やトラブルが生じ得ると説明していた。
こうした課題に対し、日本免税とJPYC社が示したモデルでは、税関の承認データと連動してJPYCを旅行者のウォレットへ迅速に送付する仕組みを想定していた。店舗がカード番号や口座情報を扱わずに済み、カードの解約や番号変更に起因する返金不能も防げると説明していた。また、専用アプリを使わず、普段使いのWeb3ウォレットで受け取れるため、銀行口座を持たない旅行者も対象になるとしていた。
日本免税とアップボンドは、旅行者のウォレットにJPYCを直接送ることで、カード返金や国際送金に伴う手数料を抑えられると説明している。また、日本免税は、JPYCの発行・移転・償還の履歴がブロックチェーン上に残るため、利用者単位や取引単位で追跡でき、マネーロンダリングや不正受給の抑止につながるとしている。
日本免税は、旅行者が還付金を円建てのまま保有し、次回来日時の買い物などに利用することも想定している。受け取ったJPYCを、米ドル建てステーブルコイン「USDC」などの外貨建てステーブルコインへブロックチェーン上で交換できる点も挙げている。
なお、還付金の受取時期や手数料、最終的な受取額はサービス条件による。JPYCの利用・送付・償還にも、各サービスの対応状況や利用条件が適用される。
今後は、アップボンドの「エージェンティックウォレット(Agentic Wallet)」にも免税還付機能を追加する予定だ。チャットで還付状況を確認できるようにする計画で、提供時期は別途案内する。日本免税は、還付金の受取手段の拡充や、自治体と連携した地域還元の取り組みも進める方針だ。
政策面では、井林辰憲国土交通大臣が10月21日の衆議院国土交通委員会で、免税還付へのステーブルコイン活用を検討する考えを示していた。ただし、同発言では特定のステーブルコインの採用や具体的な導入時期は明らかにしていない。両社も今回の発表で、こうした政策上の議論は、本サービスに対する政府の採用・推奨を示すものではないと説明している。
参考:プレスリリース
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