国債と決済手段をオンチェーンで連携、レポ取引の効率化へ
プログマ(Progmat)が主催する「デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)」が、日本国債のトークン化とオンチェーンでのレポ取引に関する共同検討の「中間整理」を10月22日に公表した。あわせて、これまでの机上検討から実機検証フェーズへ移行する方針を発表した。
実機検証では、ブロックチェーン「カントンネットワーク(Canton Network)」上で、検証用のトークン化国債(tJGB)、トークン化預金(TD)、ステーブルコイン(SC)を発行・管理できるサンドボックス環境を提供するとのこと。国内外の複数のレポ・担保管理プラットフォームと順次連携する予定で、具体的な連携先は準備が整い次第公表されるという。
なおレポ取引とは、国債などの証券を使って短期資金を調達・運用する取引のこと。
今回の中間整理は、DCCが2026年5月に設置した「トークン化国債・オンチェーンレポ ワーキング・グループ(WG)」での議論をまとめたものだ。同WGには、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、ブラックロック・ジャパンなど、金融機関やブロックチェーン関連企業、法律事務所など69組織が参加した。
国債のトークン化では、既存の「振替国債」自体をオンチェーンで管理する方式を主案とした。分散型台帳(DLT)と同期する「オンチェーン管理口座(OC口座)」を設け、国債の法的性質を維持したまま管理方法を切り替える方針だ。
具体的には、24時間365日稼働し、DLTと常時同期する新システム上のOC口座記録を、国債の保有・移転を記録する振替口座簿の正本とする構成を想定する。既存の口座管理システムには、開局時間中にその記録を写しとして取り込み、既存システムの改修への影響を抑えるとしている。
オンチェーンレポでは、中央清算機関(CCP)を介さない相対取引を対象に、約定後の照合・決済・担保管理の効率化を検討する。既存の取引方法や基本契約を活用し、トークン化国債とトークン化預金・ステーブルコインを連動させることで、時間単位のレポ取引を24時間365日処理できる仕組みを目指す。既存の基本契約には、デジタル資産用の付属書(アネックス)を追加する方針だ。
実機検証では、同日中に開始・終了するイントラデイ取引や、国境をまたぐクロスボーダー取引、資金・担保の横断管理といった利用場面について、導入効果などを確かめる。
なお、中間整理では、実用化前に日本銀行の取扱時間などを含む業務規程との整合性を、日銀や当局に確認する必要があるとしている。
DCCは第一期の参加者以外からも実機検証への参加を受け付ける。連携準備が整い次第、2026年11月にキックオフし、2027年春に改めて中間整理を公表することを目標としている。
検証に使うカントンネットワークは、デジタルアセット(Digital Asset)が開発した、金融機関向けのパブリックなレイヤー1ブロックチェーンだ。同ネットワークでは、各アプリケーションの参加権限や取引情報の共有範囲を設定できる。金融機関は、取引情報の機密性を保ちながら、トークン化資産の発行・取引や金融アプリケーション間の連携を行える。
同ネットワークには、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)、BNPパリバ(BNP Paribas)、米証券保管振替機関(DTCC)、ブロードリッジ(Broadridge)、サークル(Circle)などが参画している。
同ネットワークのネイティブトークンは、暗号資産(仮想通貨)「カントンコイン(Canton Coin:CC)」だ。同トークンは、ネットワークの公開インフラの利用手数料や、アプリケーション開発者・利用者・インフラ運営者への報酬に使われる。
また、同WGを巡っては、カントンネットワーク向けインフラを提供するゼニス(Zenith)が、6月24日に参画を発表していた。ゼニスは当時、同ネットワーク上でイーサリアム(Ethereum)互換の実行環境を提供する立場から、プロトコル設計や相互運用性、規制に対応したインフラ整備に貢献すると説明していた。
参考:プログマ社
画像:PIXTA