30年超ぶりの大型住宅法案へ
米国上院で包括的な住宅費用対策法案の審議が進むなか、上院銀行・住宅・都市委員会のティム・スコット(Tim Scott)委員長(共和党)、エリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)筆頭委員(民主党)、下院金融サービス委員会のフレンチ・ヒル(French Hill)委員長(共和党)、マキシン・ウォーターズ(Maxine Waters)筆頭委員(民主党)の4名が、大型住宅政策法案「21世紀の住宅への道法案(21st Century ROAD to Housing Act)」の最新法案テキストと条文解説を6月16日に公開した。
同法案は、上院銀行委員会と下院金融サービス委員会による超党派・両院協議の成果として取りまとめられたものだ。上院、下院、ホワイトハウスそれぞれの優先事項を一つのパッケージに統合し、住宅価格や家賃の高騰によって住居確保が困難になっている米国の深刻な住宅問題に対処する内容となっている。
法案は、住宅建設や住宅取得を妨げてきた煩雑な行政手続きや規制の簡素化・撤廃を進めるとともに、住宅供給の拡大、家計負担の軽減、納税者保護、地方自治の尊重などを柱としている。住宅供給の制約や取得費用の上昇に対応する内容となっている。ウォーレン氏は同法案について、「過去30年超で最大規模の住宅法案になる」と説明している。
また、今回公表された法案テキストでは、住宅政策以外のデジタル金融分野の政策に関する条項も含まれている。その一つが中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する規定だ。住宅政策を主題とする包括法案にCBDCに関する規定が盛り込まれた点は、同法案の特徴の一つとなっている。
法案は、米連邦準備制度(Fed)の理事会または連邦準備銀行が、CBDCまたはCBDCに実質的に類似するデジタル資産を、直接または金融機関などを通じて間接的に発行・創設することを禁止する内容を盛り込んでいる。同条項は2030年12月31日に効力を失うとされており、これによりFedによるCBDC等の発行は2030年末まで制限される形となる。
ただし法案には、同条項の失効後も、議会制定法による授権なしにFedがCBDCやCBDCに実質的に類似するデジタル資産を発行できると解釈してはならない、との補足規定も置かれている。
CBDCを巡っては、個人の金融取引に対する政府監視の強化やプライバシー侵害につながるとの懸念が、共和党を中心に提起されてきた。トランプ政権もCBDCの導入に否定的な姿勢を示しており、2025年1月の大統領令では、米国内でのCBDCの設立、発行、流通、利用を禁じる方針が示されている。
米国ではこれまで、FedによるCBDCの検討は研究・実験段階にとどまっており、実際の発行は決定されていない。Fedも、CBDCを実施・発行するかどうかについて決定していないと説明している。
法案は現在、上院で審議が進められている。上院は6月16日、H.R.6644に関する下院メッセージの審議入り動議を87対8で可決した。今後は上院での最終採決を経て、両院で同一文言が可決されれば、大統領の署名に回ることになる。ヒル委員長は「トランプ大統領が署名し、法律として成立することを期待している」とコメントしている。
参考:声明
画像:PIXTA