米下院、「CLARITY・GENIUS・反CBDC法案」審議の動議が一時停滞。保守派がCBDC規定の扱いに反発

暗号資産3法案の審議動議が膠着状態に

米下院が、暗号資産関連の3つの重要法案(GENIUS法案、CLARITY法案、および反CBDC法案)の審議の第1回手続き投票が7月16日(現地時間)に可決した。しかし、その数時間後に保守派議員らが反対票を投じたことで審議が一時停滞している。

今回、審議の対象となっているのは、米国内におけるステーブルコイン規制を目的とした「GENIUS法案(S.1582)」、デジタル資産の法的位置付けを明確にする「CLARITY法案(H.R.3633)」、および中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行・利用を連邦準備制度(FRB)などの連邦金融機関に禁じる「反CBDC法案(CBDC Anti-Surveillance State Act、H.R.5403)」だ。

これら法案の審議は、7月15日に一度否決(賛成196、反対223)されていたが、再調整を経た7月16日の再投票の第1回手続き投票では、賛成215票、反対211票で可決された。

しかし、この可決から数時間後に状況は一変。反CBDCの扱いが不十分として、マージョリー・テイラー・グリーン(Marjorie Taylor Greene)下院議員やチップ・ロイ(Chip Roy)下院議員らが反対票を投じた。両名を含む保守派は、CBDCに反対する文言をCLARITY法案に盛り込むよう主張しているが、委員会側はパッケージ化しない立場を示している。 

現在、下院金融サービス、農務省メンバー、保守派らは緊急会合を実施中だ。パンチボールニュース(Punchbowl News)を含む複数メディアが、下院が「膠着状態にある」と表現している。

これらの法案が正式に法制化されれば、米国では、さらに暗号資産関連の整備が加速することとなる。

「GENIUS法案」は、ステーブルコインを現金または米国債で100%裏付けることを義務付け、銀行および非銀行発行体の監督基準を明確化する内容だ。

「CLARITY法案」は、「デジタル資産」が商品(commodities)か証券(securities)かを法的に定義し、CFTC(商品先物取引委員会)またはSEC(証券取引委員会)のどちらが規制権限を持つかを明確にする。これにより規制の不確実性が解消され、起業や投資に対する法的リスクが軽減される。また、機関投資や企業による導入も進む可能性がある。

「反CBDC法案」は、FRBなどによるCBDCの発行および利用を禁止することで、政府による監視リスクを回避し、プライバシー保護を強化することを目的としている。

参考:The BlockCongress.gov
画像:iStocks/AndreyPopov・sumkinna

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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