Ark Labsが520万ドルのシード調達を完了
ビットコイン(Bitcoin)上でプログラマブルな金融インフラを構築するアークラボ(Ark Labs)が、ステーブルコイン発行最大手のテザー(Tether)をはじめとする投資家から520万ドル(約8億2,000万円)のシード資金を調達したと3月12日に発表した。同ラウンドには、テザーのほか、エゴ・デス・キャピタル(Ego Death Capital)、エポックVC(Epoch VC)、ライオン26(Lion26)、サッツ・ベンチャーズ(Sats Ventures)、コントリビューション・キャピタル(Contribution Capital)が参加し、暗号資産(仮想通貨)カストディ企業のアンカレッジ・デジタル(Anchorage Digital)や元ペイパル(PayPal)財務担当副社長のラルフ・ホー(Ralph Ho)氏らも出資している。
調達した資金は、開発者リレーションとプロダクト開発におけるチーム拡大、パートナーのオンボーディング、そしてステーブルコインとビットコインの流動性をプロダクションスケールで統合するために必要な開発ツールの構築に充てられる。アルジェンティエリCEOによると、同社は従業員数を現在の10人から約25人に増やす計画だという。アーク・ラボのエコシステム責任者アレックス・ベルジェロン(Alex Bergeron)氏は「他のネットワークでは、そのインフラはますます許可制となり、単一企業の利益によって動かされている。アーケードはオープンで中立的な代替手段だ」と語っている。
今回の調達により、アークラボの累積調達額は770万ドル(約12億2,000万円)を超えた。同社は2024年に設立され、同年8月にドレイパー・アソシエイツ(Draper Associates)、フルガー・ベンチャーズ(Fulgur Ventures)、アクシオム・キャピタル(Axiom Capital)が支援する250万ドルのプレシードラウンドを発表していた。
アークラボは同社の主力インフラストラクチャである「アーケード(Arkade)」を通じて、ビットコイン上でウォレット、フィンテック企業、金融機関向けに即時実行可能なプログラマブルトランザクションを可能にする金融インフラの構築を進めている。アーケードは、次世代のコマース、小売決済、金融アプリケーションを支えるオープンで中立的かつスケーラブルな実行レイヤーとして設計されており、2025年10月からパブリックベータ版として稼働している。同プラットフォームでは、パートナー企業がすでに決済、貸付、クロスネットワーク決済などのサービス構築を進めているという。
今回の資金調達と同時に、アーケードがステーブルコインおよびデジタル資産のサポートを開始したことも発表された。パートナーは、ビットコイン上でトークン化された資産の発行、転送、決済を、ネイティブなビットコイントランザクションと同じ即時実行とプログラマブルな制御機能を用いて実行できるようになったとのこと。アークラボのマルコ・アルジェンティエリ(Marco Argentieri)CEOは、「ビットコインは世界で最も流動性の高いデジタル資産だが、金融アプリケーションが必要とするプログラマブルなインフラが欠けていた。アーケードはそれを変える」と語っている。
アーケードは、ビットコインプロトコル仕様「Ark」を用いて構築されたビットコインネイティブの仮想実行レイヤーで、ビットコインのコンセンサスルールを変更することなく即時のオフチェーントランザクションとより複雑な金融アプリケーションをサポートする設計となっている。同プラットフォームは、事前署名された仮想トランザクションアウトプット(VTXO:Virtual Transaction Output)を通じてビットコインのトランザクションレイヤーを仮想化し、ユーザーがオンチェーンで資金を取り戻す能力を保持しながら資産を移動できる仕組みだ。ステーブルコインやその他のトークンも同じVTXO構造内に組み込まれ、オフチェーンで発行、転送、バーン(焼却)が可能になるという。
商取引や小売決済には、単純な価値移転以上の機能が求められる。承認、保留、条件付き取引、エスクローといったプログラマブルな機能は、本格的な決済ネットワークには不可欠な要素だ。またこれらの機能は、AI(人工知能)エージェントがユーザーに代わって安全に取引を行うために支出制約や条件付き実行を必要とする自律型コマースなどの新興ユースケースでも重要となる。アーケードは、これらのプログラマブルなツールを即時実行とビットコイン決済保証とともにウォレット、フィンテック企業、資産発行者に提供するとのことだ。
テザーのパオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)CEOは「ステーブルコインはビットコイン上で誕生したものであり、ビットコインネットワーク上でのアクセス拡大は我々の優先事項であり続ける」と述べた。同氏はさらに「アークラボはビットコイン上でステーブルコインの発行、移動、決済を容易にするインフラを構築している。最も安全で広く認知されたブロックチェーン上でのUSDTへのアクセス改善は、より大きな金融包摂、より効率的な国際送金、より強固なグローバル流動性を支援する」と語っている。
なお、デファイラマ(DefiLlama)の確認値では、ステーブルコイン市場全体の時価総額は約3,158.69億ドル(約50兆3,000億円)となっている。チェーン別では、イーサリアム(Ethereum)上が約1,624.62億ドル(約25兆9,099億円)、トロン(Tron)上が約868.29億ドル(約13兆8,000億円)だ。またテザーは2014年にビットコイン上のオムニ(Omni)レイヤーでUSDTを開始したが、2023年8月にオムニでの新規発行停止を発表しており、現在のサポート方針では同チェーン上での発行・償還義務はない。