スタークネット、プライベート取引用インフラ導入の「Shinobi」がメインネット稼働

プライベートトランザクション実現へ基盤整備

イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2ネットワーク「スタークネット(Starknet)」のアップグレード「スタークネットv0.14.2(Starknet v0.14.2)」が4月20日にメインネットで稼働開始した。本アップグレードは、コミュニティ上では「シノビ(Shinobi)」と呼称されている。

シノビでは、プライベートトランザクションを可能するための基盤インフラが導入された。これによりスタークネットは、プライバシー対応アプリケーションを構築するための基盤を備える形となる。これにより、ユーザーは自身の残高や取引履歴を公開することなく、資産を保有していることや移転する権利を証明できるとのことだ。

本アップグレードの技術的な中核は「SNIP-36」だ。これにより、スタークネットにおいて証明をプロトコル内で直接検証できる仕組みが導入された。

従来、スタークネットでは証明の検証をプロトコルとしてネイティブに扱うことができなかった。そのため、アプリケーションが証明を検証する場合はスマートコントラクト内で実行する必要があった。しかし、証明データは非常に大きく、ネットワークのトランザクションサイズ制限を超えるため、複数のトランザクションに分割するなどの制約があった。この手法は処理速度やコストの面で課題があり、実用面でのハードルとなっていた。

v0.14.2では、証明をトランザクションから直接参照できるようになった。これにより、証明の検証はネットワークのコンセンサスによってネイティブに処理される。

またこのインフラは、スタークネット上で予定されているプライバシー関連プロジェクトの基盤として位置付けられている。その一つが「STRK20」であり、同フレームワークによりスタークネット上のERC-20トークンをプライベートに利用できるようになる。トークンの残高は暗号化され、スワップやステーキング、送金を資産状況を公開することなく実行できるとされている。

もう一つが「strkBTC」であり、ビットコイン(BTC)をスタークネット上でプライベートに利用するための仕組みとなる。これにより、ユーザーはウォレット全体の履歴を公開することなく、分散型金融(DeFi)アプリケーション上でBTCを活用できるようになる。

なおこれらのプライバシー機能については、第三者の監査企業が閲覧キーを保持し、法的および規制上の正当な要請に基づいて個別のトランザクション情報が共有される可能性があると説明されている。

このほか、ネットワークの経済設計や構造面の調整も実施された。「SNIP-37」ではストレージコストを引き上げる一方で、L2の基本ガス価格を引き下げることで、状態を多く消費するアプリケーションが相応のコストを負担する設計に見直された。

スタークネットの開発を主導するスタークウェアは、本アップグレードを「プライバシーを前提としたアプリケーションの基盤」と位置付けており、スタークネットがライバシー対応のためのネイティブな基盤を備えたネットワークとなったと説明している。

なおスタークウェアは今年2月、機関向けプライバシーレイヤー「ナイトフォール(Nightfall)」のスタークネット場への展開を発表しているほか、3月にはERC-20向けプライバシーフレームワーク「STRK20」を公表している。今回のアップグレードは、こうしたプライバシー機能の実装に向けた基盤整備の一環と位置付けられる。

 

参考:X記事
画像:iStocks/Peach_iStock

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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