スタークネット、次世代ZKプルーバー「S-two」稼働開始

スタークネットに新型ZK証明が実装

イーサリアム(Ethereum)レイヤー2「スタークネット(Starknet)」のメインネット上で新型プルーバー(証明器)「エス・トゥー(S-two)」の稼働が開始した。同ネットワーク開発元のスタークウェア(StarkWare)が11月3日に発表した。従来使用されていた「ストーン(Stone)」に代わり、今後すべてのスタークネットブロックはエス・トゥーによって証明されることになるという。

エス・トゥーはスタークウェアが開発した完全オープンソースの次世代プルーバーで、トランザクションの正当性を数学的に証明する仕組みだ。同技術は従来使用されていたプルーバーのストーンと比較して最大10倍の高速化を達成しており、これまで数分を要していた計算証明を数秒で完了できるようになるという。

また同技術はブロック生成や検証の速度が大幅に上がるだけでなく、ユーザーが自分の端末で取引やデータの正しさを証明できるようになる。スタークウェアは、エス・トゥーが「クライアントサイド(端末側)での証明生成」を現実化した初のプルーバーだと説明している。従来は強力なサーバーや高コストのクラウド環境でしか生成できなかった証明を、スマートフォンなどの小型デバイスでも数秒で作れるようになったという。

この進化により、たとえば「送金履歴を隠したまま本人確認を行う」「AIが生成した結果をオンチェーンで証明する」「プライバシーを保ったまま年齢や資格を証明する」など、これまで理論上しか語られなかったユースケースの実用化が期待されている。

エス・トゥーは暗号基盤「サークル・スタークス(Circle STARKs)」と、高性能な素数体「M31フィールド(M31 Field)」を採用している。また同技術はプログラミング言語「ラスト(Rust)」上に実装され、スタークウェア独自の「カイロ(Cairo)」言語および代数中間表現(AIR)をサポートしており、開発者は高精度かつ効率的な証明システムを構築できるという。

またエス・トゥーの低コスト設計は将来的な「分散型プロービング(Decentralised Proving)」の基盤にもなる可能性がある。これはネットワーク上の誰もがトランザクションを検証・証明できるようにする構想で、単一障害点をなくし、より信頼性の高い分散ネットワークを実現するものだ。

スタークウェアは今後、開発者向けAPIやテンプレートなどのツール群を公開し、エス・トゥーをスタークネット外のチェーンにも展開していく方針を示している。

 

参考:スタークネット
画像:iStocks/dalebor

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