フロリダ州、ビットコインなどデジタル資産を州財政に組み込む法案を提出

インフレ対策としてBTC活用へ

フロリダ州議会は2026年立法会期において、州の公的資金をデジタル資産に投資可能とする「下院法案183(HB 183)」を提出した。法案は、連邦政府による「戦略的ビットコイン準備金(Strategic Bitcoin Reserve)」構想を踏まえた内容で、「ビットコインロウズ(Bitcoin Laws)」など複数の米メディアが10月17日に報じている。

HB 183は、州財務長官(Chief Financial Officer)に対し、一般歳入基金(General Revenue Fund)、予算安定化基金(Budget Stabilization Fund)、および各省庁・司法機関の信託基金や管理基金などを含む公的資金のうち、各アカウントごとに最大10%をデジタル資産および上場取引商品(ETP)に投資する権限を認めるものだ。

これに加え、州の投資運用機関である州年金運用理事会(State Board of Administration:SBA)も、フロリダ退職年金制度(System Trust Fund)の資金を最大10%までデジタル資産に投資できるようになる。また、地方自治体の年金基金も同条文により、投資方針に基づいて同様の割合までデジタル資産を保有できるようになる。

投資対象は、ビットコイン(BTC)を含む暗号資産、デジタルコモディティ、デジタル証券、NFT、さらに米証券取引委員会(SEC)登録済みの投資会社が発行する上場投資商品(ETP)などと定義されている。

法案では、インフレが州資金の購買力を低下させていること、そしてビットコインなどのデジタル資産が国際的な価値保存手段として認知されつつあることが明記されている。2025年3月6日に発令された米国大統領令14233号を引用し、フロリダ州も公的資金の一部をデジタル資産として保有・運用することで財政の長期安定性を高めるとする政策方針を掲げている。

また、法案は州民が特定の税金や手数料をデジタル資産で支払うことを認める条項を含んでいる。受領したデジタル資産は一般歳入基金(General Revenue Fund)に移管され、原資のファンドには米ドル建てで補填される。州が資産を受領する際には、第三者の権利侵害や担保請求のない完全な所有権を取得したものとみなされる。

法案の施行日は2026年7月1日と定められている。

同様の動きは他州にも広がっており、2025年5月にはアリゾナ州とニューハンプシャー州がそれぞれ暗号資産準備基金(Crypto Reserve Fund)を創設した。さらにテキサス州でも「Texas Strategic Bitcoin Reserve」を設立する法案(SB 21)が2025年6月20日に成立されている。

ビットコインロウズの創設者であるジュリアン・ファーラー(Julian Fahrer)氏は、「ザ・ブロック(The Block)」へのコメントで「2025年だけで全米50件以上の暗号資産準備金関連法案が提出された」と述べ、次の会期ではさらに増加すると予想している。

参考:法案
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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