イングランド銀行、ホールセール型CBDCと同期化の実験へ

既存の決済システムにDLTを適用

イングランド銀行(BoE)が、ホールセール型中央銀行デジタル通貨(wCBDC)と即時グロス決済(RTGS)システムを使った実験プログラムを行う予定だ。ディスカッションペーパーにて7月30日発表した。

 実験では主に、「プロジェクトメリディアン(Project Meridian)」で試行されたCBDC決済とCBDC以外の中央銀行資金の同期を比較検証する。 同期化ネットワークは既存のRTGSシステムと統合される。

なお「プロジェクトメリディアン」は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を使用した同期決済実験のこと。BoEは国際決済銀行(BIS)と協力し昨年4月に「メリディアン・プロジェクト」の一環で、分散型台帳技術(DLT)活用の決済システムをテストしたことを報告していた。

BoEはまず、DLTについて「プログラマブル・プラットフォームが私たちの金融・財政安定の目標にどの程度の影響を与え得るかは、結局のところ、金融市場がこれらの技術を大規模に導入する可能性に依存する。私たちの現在の評価では、その可能性は依然として不透明」とし、「まだ出現していないDLTのユースケースも導入に影響を与える可能性があるため、『想像の失敗』を警戒する必要がある」と評価した。

ディスカッションペーパーでBoEは、中央銀行が発行する通貨と分散型台帳プラットフォームが相互作用する1つの方法は、いわゆる「同期化」と指摘。この「同期化」は、ある資産が1つのプラットフォームから別のプラットフォームに移転される際に取引の現金部分を銀行のRTGS台帳に記録するものだ。

またwCBDCは、プログラム可能なプラットフォームとの相互作用に役立つ可能性があるとされた。

BoEによれば、「実験プログラムは、中央銀行による資金供給の革新から得られる一連の政策成果に基づいて行われる」とのことで、「このプログラムは、wCBDCと同期の両方、そしてこれら2つのアプローチの相対的なメリットを網羅することになる」という。

またBoEは、財務省、決済システム規制当局、金融行動監視機構(FCA)らと協力し、ステーブルコインが関与する場合でも貨幣の一元性が維持されるようにすると報告している。

同行は、ステーブルコインとトークン化された預金(プログラム可能なプラットフォーム上で表現された預金債権)の間で貨幣の一元性が維持されるよう、一連の試験を実施すると述べている。

なおBoEは今後6か月以内にこのプログラムを開始する予定とのこと。

同行は現在同ディスカッションペーパーへのフィードバックを求めている。

関連ニュース

参考:イングランド銀行
images:iStock/Ninja-Studio・Niko_Cingaryuk

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

ビットコインの量子コンピュータ対策に全体像、BIP-360やSHRINCSなど開発進む

イーサリアム(Ethereum)やビットコイン(Bitcoin)のプロトコル開発動向を取材するクリスティン・D・キム(Christine D. Kim)氏が、ビットコインの将来的な量子コンピュータへの対策について、複数の技術提案を組み合わせた全体像を示した。自身のニュースレター「BTCビフォア・ライト(BTC Before Light)」で9月8日に記事を公開し、9月15日に自身のXで紹介した

GO・Waymo・日本交通、国内初の完全無人タクシー運行目指す。2027年に東京で100台規模

タクシーアプリ「GO」を運営するGO、米グーグル(Google)の親会社アルファベット(Alphabet)傘下の自動運転企業ウェイモ(Waymo)、東京最大手のタクシー事業者である日本交通が、東京における自動運転タクシーの商用化に向けた戦略的パートナーシップに合意した