香港が「デジタル香港ドル」の試験運用の第2段階を開始、トークン化やプログラマビリティに焦点

e-HKD試験運用の第2段階開始

香港金融管理局(HKMA)が、香港のCBDCとなる「デジタル香港ドル(e-HKD)」の試験運用第2段階を開始したことを3月14日に発表した。

第2段階では、第1段階の中から選ばれたプログラマビリティ、トークン化、アトミック決済(資産の同時交換による即時決済)といった一部のケースの掘り下げに重点を置くという。また第1段階で取り上げられなかった新たなユースケースの探求も検討するとのことだ。

なおプログラマビリティとは、資金や証券が流通する際の動作をコンピュータプログラムで制御し、自動化できる性質を指す。

「e-HKD」の第1段階の試験運用は2023年10月に完了している。同試験運用では「プログラム可能な決済、オフライン決済、トークン化された預金など、さまざまな分野で国内のリテール向けユースケースを研究してきた」と報告されている。

HKMAは今回、この第1段階から新たなユースケースを模索し、「厳選された試験運用」を行う予定だと伝えている。

またHKMAは、より強化されたe-HKDサンドボックスが、3月7日に発表された新たなホールセール型中央銀行デジタル通貨(wCBDC)プロジェクト「プロジェクトアンサンブル(Project Ensemble)」からもサポートされると述べている。

HKMAによればこの試験運用では、「試験参加者によるユースケースのプロトタイピング、開発、実験を推進するとともに、e-HKDと他のトークン化された通貨との相互運用性と銀行間決済の検証を推進する」計画だという。

e-HKD試験運用の第2段階は2025年半ばまで行われる予定だ。香港政府は第2段階に参加を希望する組織の申請を5月17日まで受け付けている。

なおe-HKD試験運用の第1段階には、アリペイ(Alipay HK)、中国銀行(香港)、HSBC、恒生銀行(HANG SENG BANK)、中国建設銀行、中国工商銀行、マスターカード(Mastercard)、ビザ(Visa)、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)、ZA銀行、リップル(Ripple)など、多くの大手金融機関や決済会社が参加した。

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参考:発表第1段階レポート
images:iStock/daboost

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髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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