「新規則施行まで企業は特定のデジタル資産報告義務なし」米IRS発表

今後規則案を公表予定

米財務省と米国内国歳入庁(IRS)が企業に対し、「新規則の施行までは現金と同様に、1万ドル以上のデジタル資産受領に関して報告義務はない」と1月16日通知した。

IRSが採用した規則とは、暗号資産(仮想通貨)取引所やカストディアンなどの多くの暗号資産事業者に対し、1万ドル以上の暗号資産取引をIRSに報告する義務を課すものだ。

今回の発表は、その義務を新規則施行まで発行しないというものである。

IRSが課そうとしている新規則はバイデン大統領が2021年に署名した「インフラ投資・雇用促進法(Infrastructure Investment and Jobs Act)」の一部であり、同法は1月1日から施行されている

同法では事業者に対し、送信者の氏名、住所、社会保障番号などの個人情報を15日以内にIRSに報告しなければならない。これは米国における税収の漏れを減らす目的のためだ。

ちなみに同法については、業界団体の「コインセンター(CoinCenter)」が昨年8月にIRSへ暗号資産取引の「少額免除基準」の設定や取引相手の報告要件の廃止を提案していた。

財務省とIRSは、今後デジタル資産の受領を報告するための追加情報と手続きについて規定案を公表する予定だとし、パブリックコメントの募集や、必要に応じて公聴会の両方で意見を募ると伝えている。

米大手暗号資産(仮想通貨)取引所のコインベース(Coinbase)は昨年10月、IRSに宛てた14ページに渡る書簡にて、同法の性質と適応範囲についての懸念を示していた。

コインベースは書簡にて「提案されている規制は、そのままでは米国人の日常生活に前例のない、無制限の追跡を課すことになる。この規制案は、米国人の日常生活における極めてプライベートな医療に関する選択や、コーヒーを購入する時でさえも、政府による監視を可能にするものだ」と指摘し、「(同税制は)理解しがたく、不当な負担のかかる新たな報告義務」を課すものだと批判している。

関連ニュース

参考:IRS
images:iStocks/designer491

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

合わせて読みたい記事

【5/14話題】米コインベースのシステム全体が停止、Tanéがa16z委任でオプティミズムのガバナンスに参加など

米コインベースのシステム全体が停止中、現在は問題調査中、Tanéがオプティミズムのガバナンスに参加、a16z委任受け、米暗号資産団体がPAC発足、連邦議会選の候補支援 会員44万人から資金募る、ユニスワップ創設者が米大統領に暗号資産政策を見直すよう忠告、SECへの批判も、リップル社CEO、米政府がUSDTを標的にしていると発言。テザー社CEOはこれに抗議、Snap to Earn「SNPIT」のトークン「SNPT」、BOBG社で発行が決定、兼松、ブロックチェーン活用「TradeWaltz」で書類保管を全面電子化に、BlockdaemonがUAE進出、アブダビグローバルマーケット(ADGM)に登録、Eigen Layerの「EIGEN」が請求可能に、取引所には未上場、Fireblocks、認可済みカストディアンへのネットワーク提供へ、NYDFS規制下の信託会社設立も、オムニチェーンID認証展開「Layer3」、独自トークン「L3」初回エアドロを今夏実施へ、暗号資産ウォレット提供「エクソダス」、NYSEへの上場が遅延