マスターカード(Mastercard)がバハマの中央銀行デジタル通貨(CBDC)サンドダラーでの支払いが可能なプリペイドカードを発行

マスターカードがサンドダラーでの支払いが可能なプリペイドカードを発行

米決済大手マスターカード(Mastercard)が、バハマ中央銀行から決済サービスプロバイダーとしてライセンスを取得している企業アイランド・ペイ(Island Pay)と共同で、バハマの中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるサンドダラー(Sand Dollar)での支払いが可能なプリペイドカードの発行を2月17日に発表した。なおマスターカードによるとCBDCとリンクしたカードの発行は世界初となるとのことだ。

サンドダラーはバハマ中央銀行が発行するCBDCであり、その価格はバハマで使用されている通貨であるバハマドルにペッグされている。サンドダラーは2020年10月にバハマ全域で利用可能になり、バハマの全ての居住者は携帯電話でサンドダラーを送金できるようになったなおデジタル化され、法定通貨建てされた通貨で中央銀行の債務として発行されるCBDCとしての実利用は、サンドダラーが世界初の事例とされている。

これまでバハマ居住者がサンドダラーを使用した支払いができたのはバハマ中央銀行が承認したeウォレットを設置している店舗でのみだった。しかしこのカードによりプリペイドカードにサンドダラーを入金することで、支払い時にサンドダラーをバハマドルに変換し世界中のマスターカード加盟店で支払いを行えるようになったとのこと。

バハマ中央銀行のジョン・ロール(John Rolle)総裁はプレスリリースにて「私たちはデジタル通貨の利用と外貨やその他の決済手段へのアクセスを組み合わせるこのアプローチを歓迎します。バハマ中央銀行は、サンドダラーのインフラに結びつくフィンテック開発を引き続き奨励していくと同時に、この分野の規制に関する世界的なベストプラクティスを実現していきます」と述べている。

編集部のコメント

バハマ中央銀行は2018年にCBDCの導入計画を発表し、2019年12月にバハマのエグズマ島とアバコ島でサンドダラーのパイロット運用を行っていました。サンドダラーの開発にはNZIA Limited(エンズィアリミテッド)とシンガポールのブロックチェーン開発企業Zynesis(ズィネシス)が協力しています。

複数の島で構成されるバハマは、コスト削減のために銀行の支店の閉鎖が加速したことにより、金融サービスへのアクセスが困難な人々が増加しています。そこでモバイルで扱うサンドダラーを発行することによって金融包摂を促進する狙いです。なおバハマ国民の90%が携帯電話を所有しており、その普及率は高いようです。

またマスターカードは2020年にワイレックス(Wirex)やビットペイ(Bitpay)と提携し、暗号資産を使用して取引ができるクリプトカードを発行しています。また同社は今月10日に「2021年内に特定の暗号資産を直接支払いに使用できるようにする」と発表しています。

コメント:小俣淳平(あたらしい経済)

(images:iStocks/Myvector・jir)

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あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

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