チェイナリシスが米政府提訴、競合TRMへの単一供給元契約巡り

ICEの約151億円契約を巡る入札抗議訴訟

暗号資産(仮想通貨)のブロックチェーン分析を手がけるチェイナリシス(Chainalysis)の子会社チェイナリシス・ガバメント・ソリューションズ(Chainalysis Government Solutions, LLC)が、米国土安全保障省(DHS)傘下の移民・関税執行局(ICE)によるTRMラボ(TRM Labs)への単一供給元(sole-source)契約を巡り、米国を相手取り米国連邦請求裁判所(Court of Federal Claims)に提訴した。暗号資産メディア「ウーブロックチェーン(WuBlockchain)」らが8月17日に報じた。

米政府の調達資料によると、ICEは7月1日、国土安全保障タスクフォース(Homeland Security Task Force)の捜査を支援するTRMラボのフォレンジックソフトウェアおよびサポートサービスについて、総額9,465万5,840ドル(約151億円)の契約を同社に付与した。契約期間は同日から2027年6月30日までとなっている。

ICEは6月8日に公表した事前通知で、供給元の能力に照らして「合理的に利用可能なのは1社のみ」と判断したと説明し、競争的な見積もりや提案を募集せずにTRMラボと契約する方針を示していた。

チェイナリシスは、ICEが通常の競争入札を実施せず、TRMラボに単一供給元契約を付与した判断を争っている。ただし、訴状は封印されているため、チェイナリシスによる法的主張の詳細は現時点で公開確認できない。

チェイナリシスとTRMラボはいずれも、政府機関や金融機関向けに暗号資産取引の追跡・分析や不正資金対策に用いるソフトウェアやサービスを提供しており、ブロックチェーン分析・暗号資産フォレンジック市場で競合している。

訴訟は2026年7月27日に提起され、事件番号は「No. 26-1067C」。担当はスティーブン・S・シュワルツ(Stephen S. Schwartz)判事で、TRMラボは被告参加人として訴訟に参加している。

裁判所は7月30日、電話会議形式による初回の状況協議(initial telephonic status conference)を開催し、今後の訴訟手続きについて決定した。

裁判所は、チェイナリシスが7月27日に提出した、訴状を封印状態で提出するための申立てを認めた。また同日に提出された保護命令の申立てについても、裁判所による修正を加えたうえで認めている。

さらに裁判所は、当事者らが7月30日に提案した、行政記録に基づく判決申立ての審理スケジュールを採用した。

行政記録に基づく判決申立て(MJAR:Motion for Judgment on the Administrative Record)は、連邦政府の調達判断を争う「入札抗議訴訟(bid protest)」などで用いられる手続き。裁判所は政府機関が作成した行政記録などをもとに、調達判断の適法性を審査する。

裁判所が示したスケジュールでは、政府による行政記録の提出期限は7月31日、チェイナリシスによるMJARの提出期限は8月11日とされた。公開ドケットによると、チェイナリシスは同日にMJARを封印状態で提出している。

米政府とTRMラボは8月21日までに交差MJARとチェイナリシスの申立てへの応答を提出する。チェイナリシスによる交差MJARへの応答および自身のMJARを支持する再答弁は8月26日が期限となる。

さらに、米政府とTRMラボは8月31日までに再答弁を提出し、9月1日には共同付録(Joint Appendix)が提出される予定だ。

口頭弁論は9月2日午前10時(米東部夏時間)、ワシントンD.C.の連邦裁判所庁舎(National Courts Building)で開催される予定となっている。 ・また裁判所は米政府に対し、行政記録の全タブを番号順に収録した単一のPDFファイルを提出するよう命じた。

米政府は裁判所に対し、9月10日までに判断を示すよう求めている。

現時点で裁判所は調達判断の適法性について実体的な判断を示しておらず、今後は双方によるMJARなどの審理を経て判断が示されることになる。

参考:書類 
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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