USDT不正利用防止へ
USDTなどのステーブルコイン発行企業テザー(Tether)社とジャスティン・サン(Justin Sun)氏が設立したパブリックブロックチェーンのトロン(TRON)、暗号資産取引に関するセキュリティツールを提供するTRMラボ(TRM Labs)の3社が提携し、暗号資産(仮想通貨)犯罪に対抗する民間金融犯罪ユニット「T3 Financial Crime Unit (T3 FCU)」を設立した。テザー社が9月10日発表した。
発表によると「T3 FCU」は、トロンブロックチェーン上のUSDTの使用に関連する違法行為と闘うために官民協力を促進させる取り組みとのこと。
この取り組みでは、TRMラボ保有の金融犯罪対策の専門知識、トロンの技術的専門知識、テザー社の外部調査チームが集結し、安全でセキュアな暗号資産コミュニティづくりに貢献するという。
具体的には、TRMラボが独自のテクノロジーと専門調査員のグローバルネットワークを活用し、インテリジェンスを生成。テロや制裁逃れ、窃盗、ハッキング、サイバー犯罪、詐欺などの違法行為が疑われる取引の特定に関して、トロン及びテザー社に継続的なサポートを行うという。これによりトロンとテザー社は犯罪活動を排除することができ、世界中の法執行機関との協力が促進されるのことだ。
なお同ユニットはすでに立ち上げから数週間で、法執行機関と協力の下、脅迫詐欺や投資詐欺スキームなどに関連する1,200万米ドルを超える資金の凍結を促進したという。
サン氏はこの取り組みについて、「ブロックチェーン技術が私たちの世界をより良い場所にするために使用されることを保証し、私たちの業界では違法行為は許されないという明確なメッセージを送ることに寄与している」とコメントしている。
テザー・トランスペアレンシー(Transparency)によれば、9月11日時点でトロンブロックチェーンはUSDTの最大のネットワークであり、トロン基盤でのUSDTの総流通額は約608億ドルとなっている。これは流通しているUDSTの総額約1180億ドルのおよそ51%を占める数字だ。
一方、USDTの競合にあたる「USD Coin(USDC)」等のステーブルコインを発行する米サークル(Circle Internet Financial)は今年2月、トロンブロックチェーン上での「USDC」のサポートを終了することを発表。その理由を「当社全体のビジネス組織、コンプライアンス、およびその他の機能を含む全社的なアプローチの結果」とサークルは説明していた。
参考:発表・Transparency
画像:iStocks/artsstock・Rawpixel