同じトークン残高を複数の流動性ポジションで共有
分散型金融(DeFi)関連サービスを展開する「1インチ(1inch)」が、流動性提供プロトコル「アクア(Aqua)」の一般提供を7月28日に開始した。なお、アクアは2025年11月に開発者向けとして公開されていたが、今回全ユーザー向けに提供が開始された。
アクアは、流動性提供者が資産を従来型の流動性プールへ預けることなく、ウォレット内の資産を活用して流動性を提供できるプロトコルだ。1インチの発表によると、提供開始時点でイーサリアム(Ethereum)やアービトラム(Arbitrum)、ベース(Base)、BNBチェーン(BNB Chain)を含む13のEVMチェーンに対応する。
アクアでは、流動性提供者が1つのウォレット残高を複数の流動性ポジションで共有できる。1インチは、この仕組みを「共有流動性レイヤー(Shared Liquidity Layer)」と説明している。
従来の自動マーケットメーカー(AMM)型DEXでは、流動性提供者が資産を流動性プールへ預け、そのプール内の資産を利用してトークン交換を成立させる仕組みが一般的だ。複数のプロトコルや取引ペア、価格帯で流動性を提供する場合、資産をそれぞれのポジションへ分けて配置する必要がある。
1インチは、この仕組みによって流動性がプロトコルや取引ペア、価格帯ごとに分散し、資産が十分に活用されないケースが生じると説明した。また、プール型モデルがDeFiの拡大や伝統金融の資本をブロックチェーンへ取り込むうえでの制約になっているとの見方を示した。
アクアは、流動性提供者が承認したトークンについて、各ポジションへ割り当てた仮想残高を記録する台帳として機能する。条件を満たすスワップ注文が発生すると、必要なトークンがウォレットから移動し、交換によって受け取ったトークンと手数料が、1回のアトミック取引でウォレットへ返される。それ以外の時間は、トークンが流動性提供者のウォレットに保持される。
なお、複数ポジションの見かけ上の合計額をすべて同時に執行できるわけではない。流動性提供者の実際のエクスポージャーはウォレット内の資産量に限定され、残高で賄えないスワップは実行されない。
1インチが委託したオンチェーンデータプラットフォームを展開する「デューン(Dune)」の調査では、2026年上半期のデータを分析した結果、v3系の集中流動性の約85%が十分に利用されていなかったという。調査は7チェーン上の主要4プロトコルにある約200の活発なプールを対象とし、週平均約18億4,000万ドル(約3,009億円)の流動性を分析した。
同調査では、4プロトコル全体の週平均で29.5%に当たる約5億4,200万ドル(約886億円)の流動性が価格範囲外にあり、手数料を獲得していなかった。また、調査対象全体で年間約1億5,000万ドル(約245億円)の手数料収入を得る機会が失われたと推計している。
また1インチは、アクアの一般提供開始にあわせ、流動性提供者向け報酬プログラム「1インチ・ネットワーク・インセンティブズ(1inch Network Incentives)」を開始した。同プログラムはデゲンソフト(Degensoft)が主導し、マークル(Merkl)を通じて提供される。1インチ財団(1inch Foundation)が1,000万1INCHを拠出し、1インチDAOが50万USDCを追加で拠出する。これらの資産は、対象となる流動性提供者への報酬原資に充てられるとのことだ。
Liquidity providers: it’s time to wake up.
— 1inch (@1inch) July 28, 2026
Use 1inch Aqua to find more activity in more markets, without letting your tokens out of your wallet.
Risk-controlled execution meets full self-custody.
No, you aren’t dreaming.
Here’s how it works:
⬇️ pic.twitter.com/F7CJeikteJ