1inchが新プロトコル「Aqua」を開発者向けに公開、ウォレット資産を複数同時運用が可能に

「Aqua」を開発者向けに公開

分散型取引所(DEX)アグリゲーターの「1インチ・ネットワーク(1inch Network)」が、新プロトコル「アクア(Aqua)」の開発者向けリリースを11月17日に発表した。

アクアはウォレット内の資産を複数の運用戦略に同時活用できる「共有流動性レイヤー(Shared Liquidity Layer)」として設計されているという。具体的には従来のAMM(自動マーケットメイカー)と異なり、ユーザーは資産を流動性プールに預ける必要がないとのこと。同プロトコルにより、ウォレット内に資産を保有したまま複数戦略へ同時にアクセスできるため、資産の分断やロックによる機会損失を避けつつ、複数の流動性提供戦略の並行稼働が可能になる仕組みだ。

公式ブログでは、USDC/ETH、USDT/ETHの集中流動性戦略とUSDC/USDTのステーブルコイン戦略を同一資産で同時に稼働させる例が示されている。

1インチはアクアの構想を「トータル・バリュー・ロックド(TVL)」ではなく「トータル・バリュー・アンロックド(TVU)」と定義している。資産をロックしてプールに預け入れるのではなく、解放されたまま複数戦略に利用できる点が特徴だとしている。

なおDeFiではこれまで、「ユニスワップ(Uniswap)v3」の集中流動性や「バランサー(Balancer)」のメタプール設計など、資本効率の向上や流動性分断の解消に向けた取り組みが進められてきた。しかしこれらはいずれも資産をスマートコントラクトにロックする前提があり、同一資産を複数戦略で同時運用することはできなかった。1インチのアクアはこの前提を見直し、ウォレット内資産を共有流動性として扱う点に革新性がある。

アクアは現在、開発者向けに提供されている。開発者はアクアSDKやドキュメント、スマートコントラクト、ギットハブ(GitHub)リポジトリなどを通じて実装できる。一般ユーザー向けフロントエンドは2026年に公開される見込みだ。

参考:1インチホワイトペーパー
画像:PIXTA

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あたらしい経済 編集部

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