予測市場のカルシとポリマーケット、州賭博訴訟で停止申立て却下

各州と連邦当局の対立が拡大

予測市場大手のカルシ(Kalshi)とポリマーケット(Polymarket)は5月21日、米ネバダ州およびワシントン州で進行中の賭博関連訴訟をめぐり、第9巡回区控訴裁判所で相次いで不利な判断を受けた。カルシについてはネバダ州およびワシントン州、ポリマーケットについてはネバダ州の案件だ。

第9巡回区控訴裁は、両社が求めていた州裁判所への差し戻し命令の停止申立てを却下。これにより、各州による訴訟は州裁判所で継続審理される見通しとなった。なお、今回の判断は差し戻し命令の停止を認めるかどうかに関するものであり、連邦法による州法優先の本案を最終判断したものではない。

今回の判断は、予測市場を巡る「連邦規制」と「州賭博規制」の管轄争いが全米規模で拡大するなかで下されたものとなる。

カルシやポリマーケットなどの予測市場プラットフォームは、イベント結果に連動する契約商品について、米商品先物取引委員会(CFTC)が商品取引所法(CEA)に基づく排他的管轄権を有すると主張している。

これに対しネバダ州およびワシントン州は、スポーツイベントなどを対象とした契約商品が州法上の無許可賭博に該当する可能性があると反論している。

ネバダ州では、カルシおよびポリマーケットが州のゲーミングライセンスを取得せずにサービスを提供している点が問題視されている。一方ワシントン州では、カルシのスポーツ関連契約が違法賭博に当たるかどうかが主な争点となっている。

第9巡回区控訴裁は、両社による「連邦法による優先」の主張について、「連邦裁判所の管轄を生じさせる根拠ではなく、積極的抗弁にすぎない」と指摘した。

またポリマーケット側が、「CFTCの監督要件に従って事業運営している」と主張した点についても、裁判所は「連邦法へのコンプライアンスを示しているにとどまり、連邦機関の指示下で行動していることを意味するものではない」と退けている。

予測市場を巡っては、州当局と連邦規制当局の対立が一段と激化している。

ニュージャージー州では今年初め、控訴裁判所がカルシ側を支持し、同州によるスポーツイベント契約の停止命令を差し止める仮処分を維持した。

一方で、オハイオ州、メリーランド州、ネバダ州などでは、州賭博規制当局側に一定の理解を示す司法判断も相次いでいる。

4月には、ネバダ州裁判所のジェイソン・ウッドベリー(Jason Woodbury)判事がカルシのスポーツ関連契約を巡る禁止命令を延長。「認可されたスポーツブックによる賭けと実質的に区別できない」との見解を示していた。

また米商品先物取引委員会(CFTC)および米司法省(DOJ)は、アリゾナ州、コネチカット州、イリノイ州などによる規制措置について、連邦規制下のデリバティブ市場への干渉に当たるとして提訴しており、予測市場を巡る法廷闘争は全米規模へ拡大している。

こうしたなか米議会でも予測市場への監視強化が進んでいる。5月22日には、米下院監視・政府改革委員会のジェームズ・コマー(James Comer)委員長が、カルシおよびポリマーケットにおけるインサイダー取引の可能性に関する調査を開始し、本人確認(KYC)や地理的制限、不審取引の監視体制などに関する資料提出を両社へ求めた。

参考:報道1報道2報道3
画像:PIXTA

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事