イーサリアム財団、DeFi支援体制を明確化。昨年示した方針を実装段階へ

イーサリアム財団が専任人材を配置

イーサリアム財団(Ethereum Foundation)が、分散型金融(DeFi)分野への関与を組織的に強める方針を明確にした。同財団は、DeFiの取り組みを主導する専任人材を配置し、アップリレーションズ(App Relations)チーム内でDeFi支援を進めていくと2月23日に公式ブログで発表した。

今回の発表では、分散型金融プロトコルの開発支援を担う役割として、チャールズ・セントルイス(Charles St. Louis)氏を「DeFiプロトコルスペシャリスト(DeFi Protocol Specialist)」、イワン(Ivan:通称ivangbi)氏を「DeFiコーディネーター(DeFi Coordinator)」に任命したことが明らかにされた。両名は、アップリレーションズチームの中で、イーサリアム上のDeFiプロトコルに関する取り組みを主導するという。

アップリレーションズチームは、エコシステム開発領域(Ecosystem Development)の「Ecosystem Acceleration」配下に位置付けられている。イーサリアム上で稼働するプロトコルと財団をつなぐ役割を担っている。イーサリアム財団は、コアプロトコルの研究開発には直接関与する一方、アプリケーション層については中央集権的に管理しない方針を取ってきた。アップリレーションズは、その前提のもとで、開発者との対話や課題の共有、エコシステム内の調整を行う接点として機能している。

今回、DeFiの取り組みがアップリレーションズ内に明確に位置付けられたことは、イーサリアム財団がDeFiを理念や研究テーマとして扱う段階から、アプリケーション層の実務として支援する段階に移行したことを示すものといえる。

DeFiプロトコルスペシャリストを務めるセントルイス氏は、分散型金融領域でプロトコル設計とガバナンスの両面に関わってきた人物だ。直近では、DeFiプロトコル「DELV(旧Element Finance)」のCEOとして、固定金利型の利回りプロトコルおよびプロダクトの開発に携わってきた。それ以前には、ステーブルコイン「DAI」を中核とするメイカーDAO(MakerDAO)のガバナンス設計に関与するなど、DeFiの初期段階から制度設計と実装に携わってきた経歴を持つ。

一方、DeFiコーディネーターを務めるイワン氏は、イーサリアムのDeFiコミュニティに草の根から関わってきたビルダーだ。2021年には、レバレッジ取引を可能にするレンディング基盤「ギアボックス・プロトコル(Gearbox Protocol)」を共同創設した。同プロトコルは、他のDeFiプロトコルと組み合わせて利用できるモジュール型の設計や、堅牢性を重視したアーキテクチャを特徴としている。

イーサリアム財団は、DeFiの方向性について「パーミッションレス」「検閲耐性」「プライバシー重視」「セルフカストディ」「オープンソース」を重視する姿勢を示し、これらの価値観に基づく金融のあり方を「ディファイパンク(Defipunk)」と表現している。同財団は、従来型金融を単に改善するのではなく、イーサリアムでなければ成立しない金融システムの発展を支援するとしている。

今回の体制明確化は、これまでに示されてきた方針を組織として実装する動きと位置付けられる。イーサリアム財団は昨年6月に示した財務ポリシー内でトレジャリー運用方針を公開しており、その中で、DeFiを長期的なエコシステム維持と資本運用の両面で重要な分野と位置付けていた。

同方針では、財団が暗号資産(仮想通貨)であるETHを保有するだけでなく、ステーキングやDeFiプロトコルを通じた運用を行う可能性にも言及していた。今回の発表は、そうした方針を踏まえ、DeFiチームとの関係構築、セキュリティ向上、分散化とオープン性の推進、プライバシー重視のDeFi支援(Privacy clusterとの連携を含む)、標準化やリスク整理、リサーチ/コンテンツ発信などを具体的な取り組みとして進めていく段階に入ったことを示すものといえる。

イーサリアム財団は、DeFiと機関投資家の関係が深まる中でも、初期からの価値観であるサイファーパンク的な原則を維持する必要があると指摘している。今回の発表は、同財団がDeFiを単なるエコシステムの一要素としてではなく、戦略的に関与する分野として位置付け、組織的な支援体制を整えたことを示す内容となっている。

参考:発表財務ポリシー
画像:PIXTA

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あたらしい経済 編集部

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