ソラナの新バリデータクライアント「ファイアダンサー」稼働開始

ファイアダンサーがソラナメインネットで稼働開始

ソラナ(Solana)の新たなバリデータ向けクライアント「ファイアダンサー(Firedancer)」がメインネット(mainnet-beta)で稼働開始したと、12月12日にソラナの公式Xアカウントで発表された。発表によると、同クライアントはすでに少数のバリデータ上で約100日間稼働しており、その間に50,000ブロックの生成に成功したという。

ファイアダンサーは、ソラナのネットワークに参加するバリデータが実行するクライアントソフトウェアの一つである。同クライアントは、暗号資産(仮想通貨)分野の開発企業であるジャンプ・クリプト(Jump Crypto)が中心となって実装された。

ジャンプ・クリプトは2022年からファイアダンサーの開発を進めており、高いスループット性能を前提とした設計を行ってきた。過去のテスト環境の技術デモでは、一般的なハードウェア環境において高水準のトランザクション処理性能を示したことが公表されている。

ブロックチェーンにおけるクライアントとは、バリデータがトランザクションの検証やブロック生成などを行うために用いる中核的なソフトウェアを指す。これまでソラナでは、ソラナ・ラボ(Solana Labs)がネットワーク立ち上げ時に開発したRust系クライアントを基にした実装が主流となってきた(ソラナラボからスピンアウトしたアンザ(Anza)開発の「アガベ(Agave)」と、その派生形となるジトラボ(Jito Labs)が開発する「アガベジト」が、バリデータ全体の95%以上を占める)。

ソラナでは従来から複数のクライアント実装が利用されてきたものの、同一コードベースを基にした派生実装が中心だった。ファイアダンサーはこれらとは異なる設計で開発されており、クライアント多様性の観点から、特定のバグに起因する不具合がネットワーク全体に波及するリスクを低減できる可能性があるとされている。

なおソラナの開発コミュニティでは、将来的なコンセンサス刷新として「アルペングロー(Alpenglow)」と呼ばれるアップグレードが予定されている。これは、ブロック確定時間の短縮などを目的とした大規模な改修案で、ファイアダンサーのような新しいクライアント実装と並行して、ネットワーク全体の性能や安定性を高める取り組みの一つと位置付けられている。

画像:iStocks/kurosuke

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