グレースケールが米IPO申請、2025年1~9月収益20%減を開示

グレースケールがIPO申請

暗号資産(仮想通貨)に特化した資産運用会社グレースケール(Grayscale)が、米国での新規株式公開(IPO)申請を11月13日に行った。また同日公開された申請書類(Form S-1)で同社の2025年1~9月の収益が20%減少したことが明らかになった。

米国史上最長の政府機関閉鎖が終了したことで、閉鎖期間中にSEC(証券取引委員会)が最小限の人員で業務を続けていたことから停滞していたIPO市場は、今後勢いを取り戻すとアナリストらは見ている。

米コネチカット州スタンフォードに本拠を置くグレースケールは、9月30日までの9カ月間の売上高が3億1,870万ドル(約492億円)、純利益が2億330万ドル(約314億円)だったと報告した。前年同期は売上高3億9,790万ドル(約614億円)、純利益2億2,370万ドル(約345億円)だった。

「2026年の中間選挙が近づいており、暗号資産を取り巻く環境が変わる可能性がある。グレースケールやビットゴー(BitGo)のような多くの暗号資産企業は、その不透明感が高まる前に上場を目指すだろう」と、IPO関連のリサーチやETFを提供するルネサンス・キャピタル(Renaissance Capital)のシニア・ストラテジスト、マット・ケネディ(Matt Kennedy)氏は述べた。

ステーブルコイン大手サークル(Circle)や、ウィンクルボス兄弟が率いる暗号資産取引所ジェミナイ(Gemini)など、いくつかの著名な暗号資産企業は、暗号資産に友好的なドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の政権の後押しを受けて、今年すでに上場を果たしている。

「2週間後に11月27日の感謝祭(Thanksgiving Day)が控えていることを踏まえると、現実的にはIPOの再開は12月初旬になるとみている。一部の案件は年明け1月初旬に動きが出るだろう」と、法律事務所ウィルキー・ファー・アンド・ギャラガー(Willkie Farr & Gallagher)のキャピタルマーケッツ・グループ共同責任者エドワード・ベスト(Edward Best)氏は話した。

「さらに多くの企業が2025年第3四半期の業績を反映した修正届出書を提出しなければならず、それが提出時期の遅れや、SEC審査のペースをやや鈍らせる要因にもなり得る」と同氏は付け加えた。

2013年に設立されたグレースケールは、約350億ドル(約5兆4,000億円)の資産を運用しており、暗号資産業界で重要なプレーヤーとなっている。

グレースケールは2023年にSECを相手取った裁判で画期的な勝訴を収めており、これが昨年(2024年)の「ビットコイン」現物ETF承認への道を開く一因となった。

IPOの主幹事は、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)、BofA証券(BofA Securities)、ジェフリーズ(Jefferies)、キャンター(Cantor)が務める。グレースケールはニューヨーク証券取引所(NYSE)に「GRAY」のティッカーシンボルで上場する予定である。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Crypto-focused Grayscale reveals 20% revenue drop in US IPO filing
(Reporting by Arasu Kannagi Basil in Bengaluru; Editing by Leroy Leo, Sahal Muhammed and Tasim Zahid)
参考:S-1申請書類
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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