セキュリタイズ、AAAのローン担保証券をトークン化。BNYと共同で新ファンド立ち上げ

RWA市場の機関投資家向けにオンチェーン化が加速

実物資産(RWA)のトークン化プラットフォーム提供のセキュリタイズ(Securitize)が、AAA格付けのローン担保証券(CLO)に特化したトークン化ファンド「セキュリタイズ・トークナイズドAAA CLOファンド(Securitize Tokenized AAA CLO Fund:STAC)」を10月30日に発表した。

同ファンドは、グローバル金融大手のBNYメロン(BNY Mellon)がカストディアンとして参画し、BNYインベストメンツ(BNY Investments)がサブアドバイザーとして運用を担当する。BNYインベストメンツは総額2兆1,000億ドル(約315兆円)の資産を管理しており、そのうち1兆3,500億ドル(約202兆円)を債券戦略に割り当てている。

STACの初期資金として、分散型信用インフラプロトコル「グローブ(Grove)」が1億ドル(約150億円)をアンカー出資する予定だ。同プロトコルは、分散型金融(DeFi)と伝統的金融を結ぶ流動性基盤として、資本効率の向上と信用市場へのアクセス拡大を目指している。

CLO(ローン担保証券)は、企業向け貸付債権を裏付けとする証券で、世界全体の発行総額は1兆3,000億ドル(約195兆円)を超える。セキュリタイズとBNYは、この大規模市場をトークン化によってオンチェーンへ移行させることで、決済の効率化や透明性の向上を図るとしている。

STACは、米ドル建てのAAA格CLOトランシェを主要な投資対象とし、レバレッジを用いずに運用を行う方針だ。運用はBNYインベストメンツのグローバル構造化クレジットチームが担当し、リスク調整後の収益最大化を目指す。

同ファンドの持分はイーサリアム(Ethereum)上でデジタルトークンとして発行され、KYC(本人確認)やAML(マネーロンダリング対策)、投資家資格認証を統合したセキュリタイズのインフラを通じて提供される。これにより分割所有や透明性の高い管理が可能になるという。

セキュリタイズは、アポロ(Apollo)、ブラックロック(BlackRock)、KKR、ハミルトン・レーン(Hamilton Lane)、ヴァンエック(VanEck)など大手資産運用会社との協業を進めており、トークン化資産運用額(AUM)は40億ドル(約6,000億円)を超えている。

なおBNYはトークン化およびデジタル資産分野での存在感を強めている。10月28日には資産運用企業ウィズダムツリー(WisdomTree)が、同社の個人向けトークン化資産プラットフォーム「ウィズダムツリー・プライム(WisdomTree Prime)」におけるバンキング・アズ・ア・サービス(BaaS)基盤としてBNYを採用したことを発表している。

 

参考:セキュリタイズ
画像:PIXTA

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